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仙台名物を襲う「牛タンショック」 価格高騰で専門店の経営に危機、値上げ必至の状況に 7/23(金) 14:00配信 1080 仙台名物の「牛タン定食」が、値上げ必至の状況に追い込まれている 牛タン焼、テールスープ、麦飯、漬物からなる「牛タン定食」は、全国に知られた仙台の名物料理だ。ランチで平均1500円という値付けとなっているため、地元民というよりは、観光客や首都圏などからの出張者が主な顧客となっている。 その牛タン定食が今、「値上げ必至」の状況だという。理由は、今年春頃から牛タンの市場価格が高騰しているためだ。仙台名物を襲う“牛タンショック”とも言うべき状況を探った。 牛タンの市場価格は約3倍に高騰、自宅の焼き肉需要の増加も背景に 新型コロナウイルス感染拡大は、牛タン業界も直撃した。移動自粛等により、主な顧客であった観光客と出張者が激減し、多くの牛タン専門店は売り上げの大幅減少を余儀なくされた。その結果、牛タンの市場価格も通常1kg約1000円のところ、昨年は緊急事態宣言後、一時期約500円まで暴落したという。その後、同年10月頃からは上がり始め、今年3月頃から急騰しているという。 ある食肉会社幹部は、「アメリカ産とともに牛タン定食で使用される豪州産は、6月現在1kg約1500円まで上がっていますが、7~8月の現地船積み価格は約2800円と通常の約3倍に急騰している。日本向けの牛タン量が減少し、その分を確保しようとする商社などの動きが、さらなる高値を呼んでいます」と話す。 日本向け牛タン輸入量が減少した理由としては大きく2つあるという。1つは新型コロナの影響だ。米国での食肉加工工場内でクラスターが発生するなど、昨年春頃から大手工場が相次いで閉鎖し、食肉生産が上がらず、供給量が減少した。2つ目は、中国での牛タン需要が増加したことだ。アメリカ産は大半が日本向けだったが、近年は中国での牛タン需要が増加し、細かくパーツを分けて注文する日本に比べて、中国は牛1頭を丸ごと買うため、アメリカ産が日本から中国向けにシフトしているという。 さらに価格高騰の理由について、別の食肉関係者が次のように話す。「日本向け供給量は、2~3倍に相場が急騰するほど減少はしていません。実はスーパーなどの量販店が大量に買っており、国内需要が増加しているのです。背景にあるのは巣ごもり需要です。家で焼き肉用需要が増加しているのでしょう」。 日本向け供給量の減少に加え、大手スーパーなどの国内需要の増加が重なり、その影響が仙台の牛タン専門店に及んでいるものとみられる。 牛タン定食に値上げの動き、手の打ちようがない事態に戸惑いの声も 新型コロナに伴う顧客減少に加え、牛タンの市場価格高騰で、牛タン専門店の経営環境は一気に悪化している。各店一定期間の量を仕入れているが、在庫が切れると新たな仕入れが必要となり、当然、現状の仕入れ価格が上昇しているなかで利益を出すためには、値上げが相次ぐ可能性がある。すでに牛タン定食の価格を上げている店も出始めており、ライバル店の動向を見ながら今は我慢比べの状況と言えよう。 一刻も早い正常化を望むが、「今年一杯相場が下がる要素はない」(食肉関係者)との声もあり、先行きは見通せない状況だ。外的要因だけに手の打ちようがないとも言えるが、仙台名物の生き残りのためにも、この荒波を乗り越え、何とか踏ん張ってほしいと願うばかりだ。
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