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現代ビジネス 8/6(金) 7:02配信
露骨なEV優遇策とガソリン車差別
EUはガソリン車やディーゼル車の販売を2035年に廃止することをしきりにアナウンスし、時代は電気自動車(EV)に向かっているかのような報道ばかりが流れている。だが、このEV化の流れが本当に定着するのかと言えば、私は大いに疑問を感じている。 確かにヨーロッパにおいて急速にEVが普及し始めているのは事実だ。最も普及が進んでいるノルウェーでは、昨年(2020年)の新車販売台数(乗用車)ではEVが7万6804台となり、全体に占めるシェアが54.3%に達した。12月の販売台数に限れば、EV比率は66.7%となっている。今年(2021年)の新車販売台数でノルウェーのEVのシェアが2/3を超えるのはほぼ確実であろう。 だが、ここまで普及が進んでいる背景には、EVに対する様々な優遇策に加え、ガソリン車に対する巨大なペナルティーが存在している。 ノルウェーでは新車購入時にEVを選択すると、ガソリン車と比して割高感のないようにされている。これはEVに対する様々な優遇策が採用されていることもあるが、逆にガソリン車に対してとてつもないペナルティーを課しているということでもある。 例えば、独アウディのガソリン車「A7」の税抜き本体価格は32万クローネ(458万円)だが、ここに付加価値税が14万クローネ、二酸化炭素排出税12万5000クローネ、自動車重量税11万クローネなどが加算されて、総額では69万7000クローネ(997万円)となる。驚くべきことに、これはもともとの本体価格の2倍以上に相当する。 これに対して、テスラのEVセダン「モデルS」の本体価格は、税抜きで63万6000クローネ(約910万円)であり、本体価格で見れば「A7」の2倍近い。だが、付加価値税、自動車重量税などが免除され、結果として、実売価格は本体価格とほぼ同じ63万8000クローネ(約913万円)にとどまる。この結果「モデルS」は本来は2倍の価格であったはずなのに、「A7」よりも実売価格では1割近く安くなるのである。 この他にもノルウェーではEVに対する優遇策がいろいろとある。一人だけで乗っているわけではない時に限ってではあるが、EVはバス専用レーンを通行してもいいことになっている。道路使用税もEVは減免されている。EVだと高速料金もカーフェリーの利用料金も公共の駐車場の駐車料金も無料とされてきた。こうした優遇策は見直される方向に動き始めているのは確かだが、今なお大きな役割を果たしている。 一方、ガソリン価格は高額の税金が課されてリッター300円程度になっており、ガソリン車はランニングコストにまでペナルティーが課されている。
EVは本当に環境にやさしいのか
こうしたガソリン車に対する差別とEVに対する優遇策の結果として、EVが選ばれる流れがどんどんと加速しているにすぎない。裏を返せば、こうしたEV優遇策とガソリン車に対する差別をなくせば、消費者がEVを選択するかどうかは、大いに疑問であるとも言える。 そもそも、EVの方がガソリン車よりも環境にやさしいということ自体に疑問符がつく。 確かにEVは走行中にはCO2は発生しないし、音も静かだ。だが、EVは高出力のバッテリーを搭載しなければならず、そのためには希少な「リチウム」が必要になる。全固体電池になればリチウムが必要なくなると勘違いしている人もいるが、全固体電池が高出力を必要とする以上、イオン化傾向が高くて軽いリチウムを使い続ける必要がある。 リチウムの産出は塩類平原の地下に眠る塩水(地下水)を汲み上げて、これを天日乾燥させてから精製するのが主流である。そして精製段階において大量の真水が必要となる。地上が塩類平原となっているのは乾燥地帯であるからで、ここで大量の真水を必要とすることは、現地で農業を行って暮らす人たちには深刻な問題である。 リチウムは鉱石からも採掘されているが、この精製過程の廃棄物として硫酸ナトリウムなど大量の残渣が発生し、これが環境上の観点から問題視されている。そのため、先進国で採掘されたリチウム鉱石は、一旦、
環境規制のゆるい中国に運ばれて、中国で精製されているものが多いという“不都合な真実
”がある。サプライチェーンで中国依存が高いことも問題点として認識しておくべきだろう。 現状ではリチウム以上に希少な「コバルト」も大量に必要になっているが、コバルトの現在の世界生産量では、生産されたコバルトをすべてEVに利用するとしても、
年間100万台程度が限界
であることが指摘されている。 現在世界では年間1億台ほどの自動車が生産されていることからすれば、コバルトを使った自動車生産はすぐに限界がやってくる。ただし将来は様々な観点でコバルトを使用しないLFP電池(リチウム・鉄・リンを正極に利用するリチウム電池)が主流になると見られているので、この問題はいずれ解決可能とみなすことはできる。 では、それで万々歳かというと、決してそういうわけでもない。リチウムの現在の世界採掘量では採掘された全量をEVに利用するとしても、やはり
年間700万台
が限界だとされている。つまり世界中の自動車がEVになることなど、最初から不可能なのである。 カナダの鉱山企業のアルモンティ・インダストリーズのルイス・ブラックCEOは「ガソリン車をEVに切り替える作業を始める上で、現在生産されている鉱物資源は十分な量というには程遠い」と述べている。
ガソリン満タンは1分程度なのに
容易に、しかも豊富に入手でき、性質面でもリチウムに近い「ナトリウム」でリチウムを代替することも理論上は可能だが、ナトリウムの原子量はリチウムの3倍もあり、イオン体積でも2倍になることから、バッテリーがリチウムのものよりかなり重くなるのは避けられない。 EVの場合にはバッテリーの重量の問題は非常に大きい。バッテリーの重量が重くなるとエネルギーを無駄に使ってしまうため、航続距離を伸ばせないという問題が出てくる。そのため、ナトリウムバッテリーの採用は現実的ではないだろう。また、リチウムイオンバッテリーの爆発事故は現在でも珍しくないが、金属ナトリウムは金属リチウムと比べてさらに取り扱いが難しいことからしても、この選択肢も現実的ではないと見るべきだ。 充電時間の問題は、LFP電池にすることで解決のめどが立ち始めているとされるが、LFP電池でも400kmの走行距離を確保するのに高速充電で10分は必要とされている。ガソリン車が1分ほどでガソリンを満タンにして概ね600km以上の航続距離を得られることからすれば、利便性が大きく落ちることに変わりはない。しかも高速充電ではバッテリーの消耗が激しくなることも覚悟しなければならない。 ガソリンを満タンにするよりもEVのバッテリーを満充電する方が遥かに時間がかかるとすれば、EVのバッテリーステーションの数はガソリンスタンドよりもずっと多くないと困ることになる。 しかも単位時間あたりで扱える車の数がガソリンスタンドよりも遥かに少ないことを考えると、EVバッテリーステーションの経営はなかなか成立しにくい。高額な電気料金をユーザーから徴収すればいいのかもしれないが、そうなると走行中のランニングコストまでガソリン車よりも高くなり、EVのメリットは完全に吹っ飛ぶことになる。 しかもガソリン車であればどの車も同じガソリンを入れるだけだが、EVの場合には車種ごとに搭載されているバッテリーが違うために、車種ごとに違う充電器が必要になるという面倒くさい話もある。バッテリーの劣化の程度などを計算して充電量を調整するようなことが必要であり、充電中に充電器とEVの間では情報のやり取りがなされている。ガソリンのように単純に扱うことはできないのだ。 この問題は将来的には規格の統一が進むなどして解決していくことも考えられないわけではないが、決め手となるバッテリーが定まらないうちはこの不便は避けようがない。 バッテリーの消耗を小さくするために単相交流100Vコンセントで普通充電を行うとすると、1時間でおよそ10km分しか充電できず、10時間充電しても100km分にとどまる。単相交流200Vコンセントを使えばこの2倍にはなるが、それでも10時間充電して200km分にとどまる。家の近所で使うことだけ考えればこれでも十分だろうが、長距離移動を想定するとガソリン車の利便性のほうがずっと大きいと言わざるをえないのである。 また、雪国では大雪が降って車内に長時間閉じ込められた挙げ句に、最終的には車を乗り捨てせざるをえなくなることがある。こうした場合には、救助が来るまで防寒のために電力を用いて寒さを凌ぐことは普通のことだ。そのため、乗り捨てした段階ではバッテリーに電気がなくなっているということも当然起こりうる。 こうした場合、乗り捨てられた車をどうやって動かすかが、大きな課題だ。ガソリン車であれば灯油タンクを大量に積んだトラックを運べば済む話だが、EVの場合にはそういうわけにはいかないからである。
実はガソリン車の方が“省エネ”
さて、現状のEVバッテリーの問題の多くを解決してくれる切り札として、「全固体電池」に注目が集まっている。 確かに全固体電池が実用化できれば、安全性は高まるし、温度の高低を問わずに動作するなどのメリットは大きい。こうしたことから全固体電池への期待は非常に大きいが、これが自動車などに用いる大型バッテリーで実現できる目処はまだ立っていない。固体電解質のため、リチウムイオンの移動抵抗がどうしても大きくなってしまう問題が残り、この解決は簡単ではない。 三洋電機でずっと電池の開発を担当してきた雨堤徹氏によると、全固体電池の研究は最近始まったものではなく、30年前からすでに研究の花形だったという。30年間研究してきて、大型のバッテリーで実現できそうなブレークスルーには至らなかったというのが実際のところだ。 そもそもハンデを付けなければ製造コストはガソリン車の方が圧倒的に安い、という原点を見失ってはならない。 これはガソリン車の方が製造にかかるエネルギー消費が小さいこと、すなわち“省エネ”であることを意味する。走行中だけを見ればEVのエネルギー消費はガソリン車よりも小さいが、製造から廃棄までをトータルで見ると、EVの方が省エネだとは言えないところがあるのだ。 以上のような問題を考えた場合に、消費者がガソリン車の利便性を捨ててみなEVに流れるかというと、甚だ疑問である。今後、EVが普及していくにつれ、EVのデメリットはどんどん見えやすくなっていくはずだ。 EVを普及させたい側は、自動車の未来はEVに決まっているとの宣伝を強めていくのだろうが、日本の自動車メーカーも私たち消費者も、こんな宣伝に簡単に踊らされてはならないのではないか。 朝香 豊(経済評論家)
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更新:20210807 07:59:25
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