ログイン店舗:00000000
トピックスの記述
下表に必要事項を記入して、確認の上[登録する]を押して下さい。
インデックス
店舗:
日付:
順:
標題(アンカーテキスト)
(English)
記事
コロナ禍は、大都市への人流集中を抑制し、「不要不急」とされた店舗ビジネスに制約を課したため、都市部のエンターテインメント産業、外食産業、あるいは大規模商業施設に店を構えるビジネスなどに極めて大きなダメージを及ぼした。その反面、生活必需品を取り扱う小売業とされた食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンターといった業態は「巣ごもり需要」という追い風によって、軒並み増収増益という環境を作り出した。 しかし、恩恵を受けたはずの生活必需品を扱う小売業界では、期せずして、大都市マーケットを巡る大再編が起こりつつある。「ニトリ VS DCMホールディングス」の島忠争奪戦、「マツモトキヨシ VS スギホールディングス」のココカラファイン争奪戦、「H2Oリテイリング VS オーケー」の関西スーパー争奪戦など、話題となった事例は、まさに大都市マーケットでのシェアを取り合う有力企業による陣取り合戦だといえる。 なぜ、こうした事態が起こっているのか。コロナの陰に隠れて見えづらくなってはいるが、地方における人口減少、高齢化による市場縮小が着実に進んでいることを、誰もが分かっているからである。大再編が起こっている業種が扱うものは生活必需品であるため、その需要は人口が減れば縮小することを避けられない。「将来人口推計」(社会保障人口問題研究所)などにおいて将来の人口推移予測もなされているので、人口(≒マーケット)が具体的にどのくらい減るのかということも、調べればすぐに分かる。 コロナ禍が去った後に訪れる業績の落ち込みは、“劇薬”ともいえるコロナ禍の影響で持ちこたえていた市場を一気に揺り戻し、縮小市場を巡って苛烈な椅子取りゲームが起こることは避けられないのである。 ただ、見込まれる市場縮小の度合いは全国一律というわけではなく、大都市圏の中心部、首都編でいえば国道16号線内側の人口は2045年になっても今より多いとされる。であれば、今のうちにこの「減らない市場」を確保したいと思うのは当然だろう。その結果、大都市市場の争奪戦が起こっているのであり、これからさらに激化することは容易に想像できる。特に「巣ごもり需要」の恩恵を受けた企業の大半は、追い風のある今が最高業績となる可能性が高く、今は「再編を考えるならここしかない」という環境にある。 一方、地方で勢力を拡大する“異色”企業も そんな中、どこ吹く風で着々と地方で勢力拡大を続ける企業もある。「農家のコンビニ」ともいわれる小型店を軸に全国にホームセンターを1200店以上を展開するコメリだ。 05年は売り上げランキング7位に位置していた同社は、今や業界4位となる営業収益3857億円(21年3月期)、経常利益303億円(同)と高い収益力を誇り、着実に業界内での存在感を上げてきた成長株でもある。 そしてコメリのビジネスモデルは、他のホームセンターと大きく違っている点を指摘したい。 農村エリアを中心に展開するコメリ。主要ターゲット顧客は農業者である。農業資材のような農業関連商材はもとより、農家の住生活に必要となる日用消耗品などをリーズナブルな価格で提供することで、支持を広げている。大規模小売店舗立地法による届け出が不要なサイズ(1000平方メートル未満)で、ホームセンターとしては小型と目される店舗を標準とすることで出店のスピードを実現するとともに、人口が希薄な農村地で他社が対応できない1万人以下の小商圏への出店を可能にしている。 小商圏にも対応可能なコスト構造を支えているのは、業界でも定評のあるIT化が進んだ効率的な物流網であり、ホームセンター業界のコンビニといわれるゆえんはここにもある。小型店のドミナントが整うと、そのエリア内に大型店舗を出店して、地域の一般消費者の住生活需要を一気に取りに行くことで、地域全体のシェアを獲得していけるため、ホームセンター他社にも大きな影響が及ぶことになる。 コメリは農家向け需要をフォローしていくため、昔から農業支援に関する4つのソリューション(「(1)ローコストな農業資材提供」「(2)営農支援体制『農業アドバイザー』」「(3)農産物販売支援」「(4)収穫期払い可能『アグリカード』」を提供することでもアピールしてきた。 ざっくりいえば、農業資材を安く提供し、営農サポーターを提供し、生産物の販売を支援し、収穫期まではお金が入らない農家に金融を提供する――というものなのだが、この機能をこれまで農家に提供していたのが、農協である。 これまで農家は「農協の金融によって農機具、農業資材を仕入れ、農協の営農支援を受けながら生産に従事し、できた生産物を農協に持ち込んで販売してもらった代金を金融返済に充て、残りが収入になる」という形で農協を活用していた。農家に農業資材などを買ってもらおうと思えば、それぞれのタイミングで発生するこうしたニーズにフレキシブルに対応できる機能を持っていないと、農協に打ち勝つことはできない、ということだ。コメリは、こうした機能を自社に備えることによって、農業資材供給における農協のシェアを奪って、大きくなってきたといっていいだろう。 ライバルのはずが続々「業務提携」の謎 このようなビジネスモデルがコメリの根幹をなす以上、基本的に各地の農協にとって、コメリは明らかにライバル関係となる存在である。ところが、最近では各地の農協とコメリの業務提携という不思議な同盟関係が複数誕生している。 20年3月にJA伊那と、21年4月にJA山形おきたま、JA紀の里と、それぞれ協業がスタートし、22年3月にはJA伊勢、JA多気郡とも協業に向けた協議が始まった。基本的には農協における資材や肥料などの販売をコメリの店舗に委託するという形なのだが、どう見ても競争関係にありそうな両者がどうして組むことができるのだろうか。 その背景は、農協組織に求められている改革にある。地域の農協が自由な経済活動を行って、農業者の所得を向上させることを目的に、農協は効率化を進めて農業者向けのサービス向上を求められているのであり、事業採算、生産性の改善を実現したい思惑がある。農協はコメリ店舗に物販を委託することで、組合員へのサービスを維持しつつ、不採算店舗を閉鎖できるし、コメリは農協と協調関係を築きつつ物販に関わる需要を取り込める、というウィンウィンの取り組みなのである。 農林水産省の「令和元事業年度農業協同組合及び同連合会一斉調査結果」で農協の部門別損益を見ると、信用事業、共済事業という金融で収益を稼ぎ出しているが、物販などの経済事業の赤字がその半分くらいを食いつぶすという構造になっていると分かる。 コメリとの協業に踏み切った農協はまだわずかではあるのだが、こうした構造にあるということであれば、500以上もある農協がコメリとの協業に雪崩を打って参加する可能性もある。経済事業の購買品供給・取扱高が2兆4千億円程度ということを考えれば、コメリの潜在的成長余地がどれだけ大きいかが分かるだろう。 地方を基盤としている小売業のほとんどが、人口減少による需要の縮小におびえながら、生き残りの道を探している状況にある。なかでも地方、郊外の一戸建ての住生活需要を主なターゲットとするホームセンター業界は、その需要が急速に縮小していく時期が来ることは間違いない。 ホームセンター業界大手のDCMホールディングスは、生き残るために地方出身の有力ホームセンター企業が経営統合した組織であるが、生き残るために大都市マーケットを持っている島忠を仲間に入れようと考えた(その結果、ニトリとの争奪戦に敗れた)。これから地方を基盤とした小売業の前途はかなり多難なのである。しかし、彼らよりもっとローカルな地域に住み着いているコメリの前には、2兆円を超えるフロンティアが広がっている。その上、このフロンティアは競合ホームセンターが簡単に踏み込めないため、事実上、競争相手もいない。コメリは、将来的にホームセンターの覇者となるだけではなく、いずれは小売業界屈指の優良企業となれる可能性を持っている。 (中井彰人)
URL
写真(pic1)
写真標題
(English)
追加写真の掲載
html慣用句
標語1
標語2
今日の一言
トップイメージ
ステータス
sts:
skj:
更新:20220330 09:17:55
20220330.jpg
投稿する図形を選択して送信して下さい。
【メインイメージ写真】
投稿する図形を選択して送信して下さい。
日付指定呼出 日付:
順:
新規登録
一覧表へ
管理メニューへ戻る