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近年、警察による自転車の交通違反の取締りが強化されています。 自転車には運転免許がないため、交通ルールについても十分に周知されていないのが実情です。自転車を運転する方は、交通事故を起こさないため、また警察による取締りを避けるためにも、基本的な交通ルールを理解しておきましょう。 今回は、自転車の運転者が知っておくべき基本的な交通ルールをまとめました。 1. 自転車の通行区分に関するルール 自転車を運転する際、もっとも基本的な事項として知っておくべきなのが、通行区分に関するルールです。 ◆1-1. 歩道・路側帯と車道の区別がある場合は、原則車道通行 自転車は、歩道・路側帯と車道の区別がある道路では、原則として車道を通行しなければなりません(法17条1項)。 自転車が車道を通行する場合、自動車などと同様に左側通行が義務付けられています(同条4項)。その際、道路の左側端に寄って通行しなければなりません(法18条1項)。 また、車道中に自転車専用の車両通行帯(普通自転車専用通行帯)が設定されている場合には、原則として車両通行帯を通行しなければなりません(法20条1項)。 ◆1-2. 自転車道がある場合は、自転車道を通行する 自転車道が設けられている道路では、自転車は原則として自転車道を通行しなければなりません(法63条の3)。 ただし、車道を横断する場合や、その他の事情によりやむを得ない場合には、例外的に車道などを通行できます。 ◆1-3. 自転車が歩道・路側帯を通行できる場合 以下のいずれかに該当する場合には、例外的に自転車が歩道・路側帯を通行できます(法17条1項、17条の2、63条の4第1項)。 <歩道を通行できる場合> ・道路外の施設や場所に出入りするため、やむを得ず横断するとき ・歩道に停車または駐車するために通行するとき ・道路標識等によって歩道通行が認められているとき ・自転車の運転者が、児童、幼児、70歳以上の者、身体障害者であるとき ・車道または交通の状況に照らして、自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないとき <路側帯を通行できる場合> ・道路外の施設や場所に出入りするため、やむを得ず横断するとき ・路側帯に停車または駐車するために通行するとき ・著しく歩行者の通行を妨げる場合でなく、かつ軽車両の通行が禁止されていないとき ただし、自転車が歩道を通行する場合は、原則として歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければなりません。また、自転車の進行が歩行者の通行を妨げる場合は、一時停止が義務付けられます(法63条の4第2項)。 ◆1-4. 普通自転車通行指定部分について 歩道中に設けられた自転車用の通行部分を「普通自転車通行指定部分」といいます。 普通自転車通行指定部分がある歩道では、自転車は原則としてその部分を通行しなければなりません。その際、普通自転車通行指定部分を通行し、または通行しようとする歩行者がいなければ、歩道の状況に応じた安全な速度と方向で進行することができます(徐行は不要。法63条の4第2項)。 歩行者は、普通自転車通行指定部分をできるだけ避けて通行するように努めなければならないとされています(法10条3項)。 ただし、歩行者による普通自転車通行指定部分の通行が禁止されているわけではありません。もし普通自転車通行指定部分を通行し、または通行しようとする歩行者がいる場合は、自転車に徐行および一時停止の義務が課されます。 2. 自転車の交差点通行に関するルール 交差点通行に関するルールも、自転車の運転者として知っておくべき基本的事項の一つです。 ◆2-1. 二段階右折の義務 自転車が交差点で右折する場合は、事前にできる限り道路の左側端に寄り、かつ交差点の側端に沿って徐行しなければなりません(法34条3項)。これは「二段階右折」を定めたルールです。 したがって、自動車などと同じルートで交差点の中央を横切ることは不可となります。 ◆2-2. 交差点で自転車が従うべき信号機はどれ? 自転車は、車道走行中は車両信号機に、歩道走行中は歩行者信号機に従うのが原則です。 ただし、歩行者信号機に「自転車専用」の表示がある場合には、車両信号機ではなく歩行者信号機に従います。 また、横断歩道に自転車横断帯が併設されている場合には、車道から自転車横断帯に移ったうえで、歩行者信号機に従って横断しなければなりません。 3. 自転車に関するその他の交通ルール 通行区分および信号機に関するもの以外では、ほとんどのケースで、自転車についても自動車などと同様の交通ルールが適用されます。以下に挙げるのは、自転車に適用される交通ルールの一例です。 ◆3-1. 徐行・一時停止 自転車にも、自動車などに課される徐行・一時停止の義務が適用されます。 道路標識等により、徐行または一時停止が義務付けられている場所においては、その指示に従って徐行・一時停止を行い、左右の安全を確認しなければなりません(法42条、43条)。 ◆3-2. 合図 自転車が以下のいずれかの挙動をするときは、ハンドサインなどで合図を行わなければなりません(法53条1項)。 ・左折 ・右折 ・転回 ・徐行 ・停止 ・後退 ・同一方向に進行しながらの進路変更 ◆3-3. 警音器の使用 自転車が以下のいずれかの通行をする場合には、警音器(ベル)を鳴らさなければなりません(法54条1項)。 ・「警笛鳴らせ」の道路標識がある場所を通行しようとするとき ・道路標識等で指定された警笛区間において、左右の見通しのきかない交差点、見通しのきかない道路の曲がり角、見通しのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき 上記の場合のほか、法令の規定により警音器を鳴らすことが義務付けられている場合、および危険防止のためやむを得ない場合を除き、警音器を鳴らしてはいけません(同条2項)。 取材・文/阿部由羅(弁護士) ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。 https://abeyura.com/ https://twitter.com/abeyuralaw
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更新:20230109 10:17:06
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