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《50代から気をつけたい》75歳の現役医師が教える健康に長生きするための“きん・こつ・けつ”とは? 2/7(水) 7:00配信 8760 by postseven 鎌田實さんがたどりついた、健康のポイントとは? 『医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術』(アスコム)を上梓した75歳の医師・鎌田實さんは、佐賀県で『がんばらない健康長寿実践塾』、通称『鎌田塾』を開き、健康的な食や運動習慣を伝えています。2020年には佐賀県の女性の健康寿命が85.2歳となり、長野県、大分県と並ぶ全国1位になりました(国民健康保険中央会発表)。健康づくり運動を50年行ってきた鎌田さんがたどりついた、健康のポイント“きん・こつ・けつ”について、同書をもとに詳しく教えてもらいました。 【写真】75歳には見えない!鎌田先生の元気なにっこり笑顔。他、長生きのカギ!鎌田先生が実践している牛乳を使った意外な料理 * * * フレイルにならない!たん活のすすめ 年をとっても介護に頼らず、自分で生活を営むための秘訣は“きん・こつ・けつ”なのだと鎌田さんは話します。きん=筋肉、こつ=骨、けつ=血管を若く維持し続けるコツから、まずは“きん”について解説します。 ◆女性は特に気をつけたい、筋肉が減る“フレイル” 鎌田さんによると、人間は40歳を過ぎると、毎年1%ずつ筋肉が減っていくそうです。 「筋肉が減ると、筋肉の衰えにより心身の働きが弱くなるフレイルという虚弱症状が起こります。65歳以上の8.7%がフレイルで、40.8%がプレフレイルというフレイル予備軍というデータもあるほど、身近な症状なんです。 特に女性はフレイルの症状がある人の割合が高く、70歳を超えると筋肉と骨がものすごく弱ってきます。50代から気をつけておけば、その後の人生をより健康的に体を動かしやすくなりますよ。筋肉をつけておけば、代謝がよくなり、太りにくい体にもつながります」(鎌田さん・以下同) 自身がフレイルに当てはまるかは、下記のチェックポイントで確認できます。1つでも当てはまればプチフレイル、3つ以上当てはまったらフレイルの可能性が高い状態です。 □立つときに「よいしょ」と言う □ペットボトルのふたが開けにくい □以前に比べて疲れやすい □前を歩く人を追い抜けない □1年で体重が2~3kg減った フレイルは放っておくと、要介護へとまっしぐらのリスクがあるといいます。そこで、鎌田さんは、筋肉の材料であるたんぱく質を積極的に取る“たん活”をすすめています。 ◆フレイルにならない“たん活”食事法とは? 鎌田さんによれば、“たん活”は肉、魚、野菜(豆類)などおなじみの食材でOK。特に朝に摂るたんぱく質は、効率よく筋肉に変わってくれるそうです。 また、食間に“たん活”おやつを取り入れるのもおすすめです。午前10時や午後3時など、3食の間にこまめに摂るのが理想的。 「たとえば、果物やせんべいなど糖質が高く血糖値が上がりやすいおやつを、たんぱく質たっぷりなものに置き換えてみましょう。ヨーグルトやチーズなどの乳製品やゆで卵など、冷蔵庫に常備できるものがおすすめです。 また、ナッツ類はたんぱく質が豊富な上に、体によい脂質やビタミン、ミネラル、鉄分、食物繊維がたっぷりで、バランスのよいおやつになります」 骨粗しょう症は食べ物で防ぐ!骨を強くする食事 骨密度の正常値は80%で、腰や大腿骨のいずれかの骨密度が70%を下回ると骨粗しょう症と診断されます。骨粗しょう症の人は全国で約1280万人おり、60代女性では5人に1人、70代女性では3人に1人といわれ、更年期以降の女性の割合が特に高いのだそうです。 骨密度が低下すると、くしゃみで骨折する人もいるほど、骨の強度は老後の健康に関わってきます。また、眼窩(がんか)という目の周りの骨がくぼむと、目尻にシワが寄り、クマができて老けて見える傾向にあります。 ◆骨を作るにはカルシウム!摂取時に気をつけること 75歳の鎌田さんの骨密度は、なんと135%もあるそうです。では、骨密度の低下を防ぐには、どんなことに気をつけるべきなのでしょうか? 「骨を強くするためには、バランスのよい食事とこまめなカルシウム摂取が大切です。カルシウムというと魚介類や乳製品のイメージですが、大豆食品や野菜にも含まれています。 また、カルシウムは尿や便として少しずつ排出されやすい栄養なので、こまめに摂ることも欠かせません。しらす干しなどの小魚は効率よく、手軽にカルシウムを摂取できます」 カルシウムが豊富な食材は、乳製品、大豆・大豆食品、野菜類、魚介・海藻類の4つ。この4つの食品群の中から、最低2群を摂る“4群・2群の法則”を鎌田さんは推奨しています。 ◆カルシウムだけじゃない!骨を強くする栄養 さらに、いくつになってもスタスタと歩ける強い骨を作るには、カルシウムだけでなくビタミンDやKを一緒に摂取することも欠かせないそうです。 「ビタミンDには腸管でのカルシウムの吸収率をアップさせる働きがあり、ビタミンKはカルシウムが骨に沈着するのを助け、骨を壊す破骨細胞の働きをおさえてくれます。 ビタミンDが多いのは魚やきのこなどで、一方のビタミンKは発酵食品に多く含まれていて、納豆には特にたっぷり入っています。海苔やわかめ、ひじきなどの海藻類にも含まれます」 また、骨を弱らせるリンには要注意。体に必要なミネラルではあるものの、過剰に摂るとカルシウムと結合して、体外に排出されてしまいます。スナック菓子やインスタント食品、清涼飲料水などに多く含まれているので、できるだけ控えるようにしましょう。 長生きの敵、血管の老化を予防するには減塩 血管が老いると、体の不調や恐ろしい合併症を引き起こす動脈硬化、胸や手足に異常を感じる血管障害などを招きます。鎌田さんは、若々しい血管こそが長生きの秘訣だと話します。 ◆血管老化度をチェック 「血管の老化度を測ってみましょう。(最高血圧-最低血圧)÷3+最低血圧の値が、100を超えたら血管の老いの兆候があり、動脈硬化が始まっている可能性があります。ただし、最高血圧と最低血圧が150~90の間であれば、薬に頼らず、食習慣の改善によって血管を健康へと導くことが出来ます」 鎌田さんによれば、食事でまず工夫すべきは減塩。塩分の摂りすぎは血圧を高めて、血管の老化に拍車をかけます。また、野菜や海藻をたくさん摂ることもポイントです。ほうれん草や小松菜、海藻類には塩分を排出するカリウムが豊富に含まれているので、積極的に摂りましょう。さらに、抗酸化作用や抗炎症作用が期待できる、しょうがやスパイス類を活用するのも手です。 ちなみに、女性に多い低血圧は、気にしなくてもよいのだと話します。 「低血圧は病気ではありません。むしろ、80歳を超えても動脈硬化になりにくい体質と言えるので、実はラッキーなんです。とはいえ、低血圧でも血管が老化することはあり得ますので、食事の意識はしたほうがいいでしょう」 ◆牛乳が減塩料理の味方に! 日本人はみそや醤油、塩を調味料としてよく使うため、塩分摂取量が多くなりがちです。そこで鎌田さんは、いつもの料理に牛乳を使うことをおすすめしています。 「牛乳を加えることで、醤油やだし、みそなどの塩分を減らしてもコクや旨味が引き出されておいしくなります。そのうえ、牛乳はたんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンがバランスよく摂れる準完全栄養食です」 たとえば、味噌汁のだしの半量を牛乳に、煮物の水を牛乳に置き換え、野菜を牛乳で茹でる…といった工夫をすると、いつもの献立が減塩してもおいしく、さらにカルシウムもプラスされて骨密度アップにもつながります。 ◆恐ろしい病気を引き起こす“ゴースト血管”の予防法 鎌田さんは“ゴースト血管”の恐ろしさも説いています。ゴースト血管とは血液が流れなくなった毛細血管のことで、冷えやむくみ、肩こりなど日常的な症状から、動脈硬化や高血圧、脳梗塞、さらにアルツハイマー型認知症の原因になるなど、問題視されています。 「“ゴースト血管”を防ぐためには、抗酸化作用のある食べ物を摂りましょう。緑黄色野菜の色素や赤い魚のアスタキサンチンには抗酸化作用があり、血管の老化を防いでくれます。 より手軽に毎日の習慣に取り入れるなら、“シナモンコーヒー”がおすすめです。シナモンやコーヒーに含まれるポリフェノールには、強い抗酸化力や血管拡張作用があり、2つを合わせることでさらに効果がアップします。血管が広がって血流がよくなると、毛細血管が修復されてゴースト血管対策になりますし、冷え性に悩む人にもおすすめです」 “シナモンコーヒー”は、コーヒー1杯にシナモンスティック1/10本程度を好みの時間漬けるだけ。ただし、シナモンの摂りすぎは肝臓に負担をかけるので、1日2杯までを目安にしましょう。コーヒーが苦手なら、紅茶やハーブティーでもOK。シナモンの代わりにしょうがを入れてもよいそうで、しょうがの辛味が強いときは、はちみつを入れて飲みやすくしてもOKです。 ◆教えてくれたのは:医師・鎌田實さん 1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業。1988年に長野・諏訪中央病院院長に就任し、脳卒中の死亡率が全国ワーストクラスだった長野県で減塩運動をスタートさせ、地域住民と公民館で食事をするなど「住民とともにつくる医療」を推進。地域包括ケアのさきがけとなり、長野県を屈指の健康長寿県に導いた。2005年より同院名誉院長に就任。『医師のぼくが50年かけてたどりついた鎌田式長生き食事術』(アスコム)のほか、実用書からエッセイまで著作多数。 取材・文/イワイユウ 撮影/黒石あみ
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更新:20240207 13:25:05
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