囲碁ソフトの衝撃(追記5) 00000066 2016年03月18日
このたび、グーグルによるコンピュターソフトが、世界でトップレベルの韓国の棋士イ・セドルとの公開5戦マッチで4勝1敗のスコアで破り、話題を呼んでいる。今回の手法は囲碁にとどまらず、機械が不得意としてきた人間の頭脳活動の分野に広げることができ、社会に対して、大きな影響をもつといわれている。
いままでも、コンピューターは、定型的な事務処理や科学技術計算やデーター処理で、高速性、正確性、大量処理能力で、世の中のあらゆる情報処理に貢献していて、ますます、適用範囲を広げている。しかし、人間の頭脳にかなわない領域、あるいは、聖域として、プロの囲碁活動が、あると考えられていた。今回、コンピューターが、この聖域に踏み込んできたのである。この意味と今後の影響について、つぎの項目で語ってみよう。
・囲碁ゲームと学習機能
・囲碁界に対する影響
・一般社会に対する影響と問題点
・人生の基本問題への問いかけ
平成28年3月
北村 拓郎
囲碁ゲームと学習機能 00000066 2016年03月19日 北村拓郎
編集 削除
ゲームとしての囲碁は、NxMの格子に黒石(先手)と白石(後手)が交互に石を並べ地を取り、地の大きさを競うボードゲーム(通常N,M=19)です。ルールは簡単ですが、多くの変化があり、多くのファンに楽しまれています。
囲碁プレーヤーの実力には、上には上があり、トッププロ棋士を頂点として、序列がつけられています。
ゲームの着手の場合の数は有限ですので、ひとつとは限らない必勝法があります。しかし、N、Mの増加とともに場合の数が天文学的に大きくなり、N,M=19では、宇宙の原子以上の数となり、事実上必勝法はわかっていません。現在のコンピューターでも、この場合の数は数え切れません。数え切れない限り、必勝法の証明はできません。
今回のグーグルソフトは、ちょうど人間がしているように、アルゴリズムと学習機能(直感)をソフトに組み込み、世界のトッププロを公開対局でやぶり、その実力をみせつけました(従来は、コンピューターの実力は、プロ棋士に4子程度を置いたハンデキャップではるかに弱いものでしたので、このニュースに衝撃が走りました)。学習機能を大幅に強化し、自己学習もできるようにしたと伝えられています。
平成28年3月
北村 拓郎
囲碁界に対する影響 00000066 2016年03月20日 北村拓郎
編集 削除
今回の囲碁ソフトのトッププロに対しての勝利の影響は、囲碁界(プロ棋士、囲碁愛好 者、囲碁ビジネス)に徐々に影響が現れてこよう。
・コンピュータと囲碁棋士とが交わった対局が、増えてこよう。いわば、人間とコンピ ュターが切磋琢磨し、最善手を求めての学習、公開対局、研究がさかんとなり、人類 の囲碁の実力が高くなる。類似ソフトも公開対局に参加する。
・今回のソフトは、何千台ものコンピューターが連携して対局していたようであるが、
個人のパソコンあるいはサーバー上で動作するバージョンが開発され、ビジネスとし て、ソフト発売がされるであろう(囲碁の実力を落として、あるいは、パソコンの速 度と記憶容量をできるだけ上げて)。
・機械による囲碁の学習ソフトがプロの解説とともに重宝されよう。
・局後の検討、学習つきのソフト(人間ではなく機械が先生)も現れるかもしれない。
平成28年3月
北村 拓郎
一般社会に対する影響 00000066 2016年03月20日 北村拓郎
編集 削除
囲碁は、実社会とは離れた、盤上の小宇宙ともいわれ、古来から、社会の多くの問題に類似した盤上のドラマが演じられてきた。
職業人は、なんらかのプロである。個人生活においても、いろいろとあれかこれかの選択に迫られる。AIソフトは、これらの多くの問題を解決する可能性がある。
どこの世界にも囲碁棋士の序列のように、その世界で認められた最高の知性、知恵、を持つ集団、または個人(時代によって変化する)が存在しますが、コンピューターが同程度の知性、知恵を持つ分野の可能性が広がり、誰でもがインターネットを通じて、その恩恵に浴することができる社会の到来です。
たとえば、車の自動運転を可能とする、家事ロボットを可能とする。
将来は、今の職業人の仕事の半分程度は、コンピューターとロボットに代替えされる可能性があるという。
AIソフトとロボットは、これからの少子化社会の人手不足の解消に大いに役立つ可能性があるが、急激な変化は、失業や、技術者不足の大混乱をもたらすおそれもある。
さまざまの大きな影響をもたらすなかで、機械の設計者や技術者の役割が変化することに注意しよう。自己学習のレベルの高い機械では、設計者や技術者が、機械の故障や不具合に従来どおりには、対処できないことが考えられる。従来の機械には、設計図(プログラムコード)があり、それにしたがって、機械の故障や不具合(バグ)を修正することが出来た。自己学習で機械が働きを変えていくと設計者といえども不具合の原因をつかめないかもしれない。いわば、最後の関門のよりどころがなくなるかもしれない。これに対してあらかじめ対策を立てておく必要がある。囲碁の場合は、すべてをリセットして、大事にいたらないとしても、実社会では、それでは済まない取り返しのつかない事態となる場合もありうる。
平成28年3月
北村 拓郎
人生の基本問題への問いかけ 00000066 2016年03月21日 北村拓郎
編集 追記 削除
コンピュターは、人間が作り出したものであり、人間の制御のもとにあり、文明の利器ののひとつで、今回のことともそれほど驚くべきことでないのかもしれないが、今回の衝撃は、つぎのような問いかけにも発展する。
・無限や永遠とはなにか
数学的には無限の概念は定義できるとしても現実の世界で、数え切れない粒子や永遠のときは存在するのか?
・人間とはなにか
コンピュターやロボットが人間と同等あるいは類似の思考と働きをするとき、違いはなにか?
・人間の労働とはなにか
ロボットとの働きのちがいはなにか?
・人間の独創性/創造性/直感/勘とはなにか?
究極的にコンピュターやロボットとの違いは?
・コンピュターやロボットへの依存
無制限の依存は人類にとって問題ではないか?
・コンピュターやロボットは感情や感性を持つことができるか?
・ロボットは人間のPetになれるか?
・人間の尊厳とはなにか?
究極的にコンピュターやロボットにないものは、人間の尊厳である。
などなど
平成28年3月
北村 拓郎
|
|
|
|