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キャッシュレス決済導入に慎重なのか?

2019年12月11日

サイゼリヤがキャッシュレス決済導入に慎重になる理由

お客が300万人増えないと割にあわない!? サイゼリヤがキャッシュレス決済導入に慎重になる理由を考察

12/9(月) 6:15配信

ITmedia ビジネスオンライン
お客が300万人増えないと割にあわない!? サイゼリヤがキャッシュレス決済導入に慎重になる理由を考察

キャッシュレス決済導入に慎重なのか?

 皆さまこんにちは。飲食店コンサルティング会社スリーウェルマネジメント代表の三ツ井創太郎です。本連載では、皆さまが日頃なんとなく利用したり、見たりしている飲食店のビジネスモデルやマーケティング戦略を、分かりやすく解説していきます。よろしくお願い致します。

【画像】大手ファミレスチェーンの売り上げランキング



 消費増税に伴うポイント還元制度がスタートしたため、キャッシュレス決済に関するニュースを耳にする機会が多くなりました。こうした世の中の流れもあってか、飲食業界でもキャッシュレス決済を導入する店舗が増えてきています。しかし、中にはキャッシュレス決済を導入していない店舗もあります。

 皆さんは「こんなに世の中でキャッシュレス決済が話題なのに、なぜこのお店はキャッシュレス決済を導入していないのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか? 今日はこの疑問について考えていきます。
キャッシュレス決済とサイゼリヤのビジネスモデル

 キャッシュレス非対応の外食チェーンとしてよく話題になるのが「サイゼリヤ」です。今回はサイゼリヤのビジネスモデルの分析を通して、飲食店のキャッシュレス決済導入の課題について考えていきます。

 低価格のイタリアンファミリーレストランチェーンとして国内1093店舗、海外411店舗を展開している「サイゼリヤ」(2019年8月期)。皆さんも一度はお店を利用されたことがあるのではないでしょうか? なんといってもサイゼリヤの特徴はその安さです。

 今回、私も改めて都内のサイゼリヤに行ってみました。訪れたのは吉祥寺駅の近くにある店舗です。メニューを開いてまず感じるのは、やはりその安さです。人気メニューの「ミラノ風ドリア」は今回の消費増税後も299円(税込)のままです。さらに、ランチメニューに関しては9種類ものメニューが500円で提供されています。店舗全体の客単価に関しても、一般的なファミリーレストランチェーンが1000円程度なのに対して、サイゼリヤの客単価は735円と20%以上も安くなっています。

 ここでサイゼリヤの2019年8月期の決算資料より、同社のビジネスモデルをひもといていきたいと思います。その前に、ファミリーレストラン業界の売り上げランキングを確認しておきます(各社の売上高に関してはファミリーレストラン事業以外の売上高も含まれています)。


サイゼリヤは原価率が高い

 売り上げランキング1位はすかいらーくホールディングス(売上高3664億円、営業利益228億円)、2位はサイゼリヤ(売上高1565億円、営業利益95億円)、3位はロイヤルホールディングス(売上高1377億円、営業利益57億円)、4位はジョイフル(売上高728億円、営業利益4億円)、5位はココスジャパン(売上高574億円、営業利益8億円)となっています。

 ここで業界1位のすかいらーくと業界2位のサイゼリヤの決算データを比較してみます(サイゼリヤは国内のみのデータ。すかいらーくホールディングスに関しては、セグメント別の決算データが公表されていませんのでグループ全体の決算データとなります)。

 売り上げに関しては、サイゼリヤが1189億円に対して、すかいらーくグループは約3倍の3364億円となります。ここで注意したいのが原価率です。すかいらーくグループの原価率が30.4%であるのに対して、サイゼリヤの原価率は36.2%と5.8%も高くなっています。ちなみに他のファミリーレストランチェーンの原価率は業界3位のロイヤルホールディングスが31.8%、4位のジョイフルが32.8%、5位のココスジャパンが32.9%となっています。各社の原価率の数値を比較すると、サイゼリヤの原価率がいかに高いかがお分かり頂けると思います。これは言い換えると、お客さまに対して、安く商品を提供しているということです。同社の掲げる理念である「おいしさとリーズナブルへの挑戦」を実践している結果でもあると言えます。

 次に営業利益率を見ていきます。サイゼリヤの国内店舗の営業利益率は4.3%、一方ですかいらーくグループの営業利益率は6.2%であり、サイゼリヤの方が1.9%低くなっています。「たかだか1.9%」と思われる方もいるかもしれませんが、年商1189億円の1.9%ですと単純計算で23億円になります。この額を見ると営業利益率1%の重要さがお分かりになるかと思います。


キャッシュレス決済導入で14億円のコスト増?

 次にキャッシュレス決済導入に伴うコストに関して考えていきます。

 キャッシュレス決済に関して、店舗側のコストはどの程度でしょうか。現在では各社がキャンペーン等を行っており、決済手数料を無料としているブランドもありますが、一般的には3%程度の手数料となります。

 次に、来店客の何割程度がキャッシュレス決済を利用するのかを考えてみましょう。経済産業省が2018年4月に発表した「キャッシュレス・ビジョン」では、15年度の日本国内のキャッシュレス決済比率は18.4%となっており、89.1%の韓国、60%の中国等と比べかなり低い状況です。経済産業省は「今後10年間に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」としています。

 仮に、来店客の4割がキャッシュレス決済をするとなると、店舗側で負担する手数料コストは次のようになります。

 決済手数料3%×キャッシュレス利用率40%=キャッシュレス決済手数料コスト増加率1.2%

 これをサイゼリヤの決算数値に当てはめて考えると、以下のようになります。

 売上高1189億円×キャッシュレス決済手数料コスト増加率1.2%=コスト増加額14億円

 これを単純に営業利益率に反映させると、現状4.3%の営業利益率が3.1%にまでに低下してしまうことになります。これは大問題です。

 ここで考えなくてはならないのが「確かにコストはかかるが、キャッシュレス決済を導入した方が客数が増えて結果的に利益が増えるのでは?」ということです。次は、この部分をデータで検証していきます。
キャッシュレス決済で客数はどの程度増えるのか?

 今後、キャッシュレス決済を利用するお客さまが40%となった場合、コスト増加額は14億円となります。

 一方でキャッシュレス決済を導入したことで客数と利益が増加し、その増加額が14億円を上回れば実質的なコスト増加を補えると考えることもできます。

 サイゼリヤの客単価は735円です。原価率は36.2%なので、1人当たりの売上高735円から1人当たりの売上原価266円を引いた粗利益は469円となります。では、14億円の利益を得るためには何人のお客さまを獲得しなければならないかを考えていきます。

 コスト増加額14億円÷1人当たりの粗利益469円=必要獲得客数約300万人

 つまり、キャッシュレス決済導入によって年間300万人のお客さまが増えれば、理論上はキャッシュレス決済導入による手数料コスト14億円を賄うことができるのです。300万人と聞くと途方もない数だと感じるかもしれません。しかし、サイゼリヤの店舗数は1093なので、1店舗当たりの月間客数に換算すると200人程度増えればOKということになります。

 今後キャッシュレス決済が進んでいく時流を踏まえると、決して不可能な数値ではないような気がします。最近では、サイゼリヤも一部店舗においてキャッシュレス決済を試験的に導入し始めています。

 今回は分かりやすく粗利益で必要客数を割り出しましたが、実際の飲食店経営では売上原価以外にも家賃や水光熱費、備品費用等さまざまなコスト(固定費と変動費)がかかりまし、1000店舗を超えるサイゼリヤの店舗にキャッシュレス端末を設置するためのコストも発生します。こうした事情を考えると全店でキャッシュレス決済を導入するのは簡単ではありません。

 今まで数多くの魅力的な商品開発と技術改善によって、品質や生産性の向上を実現してきたサイゼリヤ。時流であるキャッシュレス決済への対応においても同社の経営手腕が注目されます。




引用元の記事はこちら(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191209-00000013-zdn_mkt-bus_all)


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