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ヘリコプターのテールローターの代わりに電動機構を

2020年04月01日

ちょっとした“電動化”で、ヘリコプターはもっと静かに安全に

ヘリコプターが約80年前に登場して以来、テールローターには1基の高速ローターだけが使われてきた。これはメインローターの反トルクを打ち消すことで、飛行中の機体を安定させるためだ。しかし、テールローターはヘリコプターの騒音の主な発生源であり、同時に地上にいる際の大きな安全上のリスクになっている。

この機械式ローターを、大手航空機メーカーのベルヘリコプターはなくそうとしている。その代わりに、覆いの付いたより小さな電動ファン4基に置き換える構想があるのだ。この新しい構想は、2月下旬にウェブで動画が公開されたことで明らかになった。

この新しいシステムでは、ヘリコプターの騒音が大幅に軽減される。同時に機体の安全性が高まり、飛行しやすくなる可能性も秘めている。そして、あらゆる種類の航空機が電動化される未来への架け橋になるかもしれない。
可変速プロペラで電動制御

「電気分散型アンチトルク(EDAT)」と呼ばれるシステムは2年かけて開発され、カナダのケベック州ミラベルにあるベルの施設で試験が実施された。その形状はクアッドコプターのドローンに似ており、ベルのヘリコプター「ベル 429」の垂直尾翼に縦向きに搭載されている。この機体はEDATの試験用に改造された特別製だ。

EDATは4基の可変速プロペラによってブレードを通る気流を調整することで、従来のテールローターと同じようにヘリコプターの胴体を安定させたり、向きを変えたりできる。この動きをパイロットはフットペダルで調節し、ホバリング中に機体を左右にヨーイング(機体の鉛直方向を軸に回転すること)するような動きもできる。

新システムの特徴は制御のメカニズムにある。従来のテールローターは、メインローターと機械的に連動して常にフルスピードで回転しているので、パイロットはブレードの角度を調節して気流を制御していた。これに対してEDATでは、4つのファンをそれぞれ異なるスピードで動作させて気流を制御する。

ベルのプログラムマネージャーのエリック・シヌサスは、次のように説明する。「ブレードの角度を変えるという機械的な連動機構をなくし、電気ケーブルに置き換えました。これまで約80年も使ってきたドライヴシャフトとギアボックスが本当は必要ないことに、わたしたちは気づいたのです」
4つの小型ファンを選んだ理由

EDATを安全で信頼できるものにするには、エンジニアリングにおける相当な努力と精度の高いソフトウェアが必要だった。EDATはヘリコプターのタービンエンジンに取り付けられている発電機から電力を得ているので、バッテリー切れになることがない。

そしてエンジンからは従来通りに騒音が発生するが、これまでテールローターの先端が高速で空気を切り裂くことで生じていた騒音は軽減される。ベルはいまのところ騒音の軽減率を公表していないが、「かなり軽減される」という。

開発チームが電動ファンを4基搭載することにした理由についてベルのシヌサスは、大きな電動ローター1基では重くなって応答性が低くなり、速度変化も遅くなるからだと説明している。また、小型の電動ファンの方が静かであることが、このシステムを開発する第一の動機になったという。

「騒音はずっとありましたが、最近まで騒音の軽減は優先事項ではなかったのです。ところが、いまや騒音レヴェルが原因で場所によってヘリコプターの飛行が禁止される事態に直面しています。これが騒音問題の解決に向かうきっかけになりました」と、シヌサスは語る。
自動運転も可能に?

テールローターを完全な電動システムにすると、ほかの問題も解決する。まず、EDATは従来のシステムと異なり常に回転し続ける必要がないので、安定性が向上する。パイロットは空中で前進する際には、ファンの回転を止めることもできるのだ。これはファンが搭載されている垂直尾翼によって機体が安定するからである。なお、従来のテールローターが必要になるのはホバリングと低速飛行の際だけだが、メインエンジンと連動しているので常に回転し続けている。

また、このシステムは機械的な連動ではなく電気的に制御される「フライ・バイ・ワイヤー」方式なので、ファンをコンピューター制御できる。これにより、パイロットによるペダル操作を完全になくせる可能性がある。つまり、EDATの自動ヴァージョンは自動運転のような方式になるということだ。

このシステムは最終的に、近年の航空機の電動化、特にベルやそのほか多くの企業が開発している“空飛ぶタクシー”の開発を加速することになる。「EDATは確実に電動化への布石になります。まったく新しいパワートレインで航空機を電動化するより、このシステムを採用するほうが簡単です」と、シヌサスは言う。

それにこのシステムは、ヘリコプターの設計を完全に新しくするより認可を受けやすいはずだ。完全に新しい設計の認可には何年も必要になるが、これなら1年以内になる。というのも、機構を電動に変更している部分はアンチトルクシステムだけだからだ。
従来機よりも安全性は向上

このシステムの発電機とモーターは、フランスのエンジンメーカーであるサフランと共同開発された。サフランはすでにベルにエンジンを供給しており、航空機用の電動パワートレインシステムを開発している。

EDATの技術はメンテナンスと注油が最小限に抑えられるだけでなく、4基のうち最大3基のファンが動かなくなっても制御が失われない。このため従来のテールローターよりも安全性は向上するはずだ。また、ブレードが覆われている上、機体が着陸するとすぐ回転を止めることができる。周囲の人からローターの回転がほとんど見えず、誤って接触する危険性もなくなる。

ベルは、このシステムをヘリコプターに搭載するスケジュールやコストをはっきりと示していない。メンテナンスの必要が少なくなることから、運用コストが安くなる可能性が高い点だけを発表している。だが、最大のインパクトは、これが空中で電動化された初の動力システムになるということだろう。


引用元の記事はこちら(https://wired.jp/2020/03/24/bells-design-helicopters-quieter/?utm_source=yahoo.co.jp_news&utm_campaign=yahoo_ssl&utm_medium=referral)


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