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「樋口メリヤス工業」の社長の中江優子さん

2021年06月13日

かかとがない靴下大ヒットを支える社長の発想力

かかと部分がない、筒状の形をした靴下がある。子供から大人までどんな足の形、大きさでもぴったりフィットするサイズフリーの新感覚の靴下「つつした」だ。大阪府枚方市に本社を置く「樋口メリヤス工業」の社長の中江優子さん(53)が考案し、売り上げを伸ばしてきた。新型コロナウイルス感染拡大で、事業の縮小を迫られる危機にも見舞われたが、地元で丁寧な物作りに再び向き合い、次の飛躍の時を待っている。

■倒産寸前でも廃業せず

樋口メリヤス工業は昭和8年、軍手や軍足の製造工場として、優子さんの祖父が創業した。戦後、国内の繊維産業が好況を迎えると、優子さんの父、和夫さんも事業を拡大していったという。

ところが、中国など海外産に押される形で、次第に国内の繊維産業が縮小、同社の業績も打撃を受けた。優子さんが社長に就任した平成18年には、会社は多額の負債を抱え倒産寸前の状態だった。

それでも優子さんは廃業を選択しなかった。

「ものづくりにこだわった祖父の意志を無駄にできない」「父が守り通した会社を絶やすわけにはいかない」

工場は閉鎖したが、地元、枚方市が運営する創業支援の貸事務所で再起を図った。

「何かを変えなければ」

同市の地場産業の補助金を得て、工房を造ると、これまでの下請け仕事から脱却。デザインから製造、販売までを一貫生産できる体制を築いた。

■ゴム糸不使用の快適な使用感

試行錯誤は続く。靴下に感謝の言葉などを編み込んだ「メッセージ靴下」の販売を始めたものの、商標権をめぐるトラブルに遭い、起死回生となる事業の拡大展開には至らなかった。

「落ち込んでばかりでは道は拓(ひら)けない」

新商品のアイデアに苦悩する中、同社を救ったのが「つつした」だった。ゴム糸を使わない。高伸縮糸を筒状に近い状態に編み上げたことで、かかと部分がなくても抜群のフィット感があるのが特徴だ。

お客さんから「この靴下だけが捨てられない」と言われた靴下を見せてもらったとき、強力な伸縮の糸を使用していたことなどからヒントを得た。平成28年に売り出し、お客さんの意見も参考にしながら改良。1足1000円から1500円と靴下にしては高めの金額設定だが、天然繊維にもこだわり、「はいても痕が残らない」「蒸れない」など、はき心地の良さが好評を博した。

靴下製造の技術者歴約60年というベテランのメリヤス製造技能士、新堂勝記(かつき)さん(78)は「社長の何事にも一生懸命になって取り組む姿勢に自然と役に立ちたいという思いがわく。今後も挑戦する企業のトップを目指してともにがんばっていきたい」と語る。

■地元に恩返しのチャンス

「やればできる」

優子さんはつつしたのヒットで自信をつけた。令和元年10月には東京メトロの駅構内に専門ショップをオープン。ところが、店舗の全国展開も考えていた矢先、新型コロナウイルスの影響を受けた。売り上げは激減。翌年4月にショップを閉める決断をした。

ちょうど3月に地元・大阪に工場や直営店、カフェなどを兼ねた「TSUTSUSHITA Labo(つつした ラボ)」(大阪府交野市)を開設したばかりだった。一度、地元に回帰することにした。昨年はラボでのマスク生産に力を入れた。特殊な和紙の糸を使った手織りに近い製法による3Dマスクは、肌触りが良く、息もしやすいことから大人気となり、経営を支えてくれた。同社でデザインを担当する安本和美さん(56)は「お客さんに寄り添う明るい社長の姿を見るたびに、商品づくりに励もうという気持ちになる。社長とだったら、必ずコロナ禍を乗り切れる」と話す。

「これからは地元のコミュニティー作りにも力を入れていきたい」と優子さんは誓う。思えば、創業から会社の再起まで、地元の支えがあって事業を続けられたからだ。

一方、つつしたを広めたいという思いに変わりはない。欧州のバイヤーにサンプルを送るなど、日本産のメリヤス製品を海外に売り出す準備を進めている。「今のご時世だからこそ、じっくりと吟味してもらえる」と、アフターコロナを見据えて踏ん張る。

「新戦略で国内外での販路拡大を図るとともに、地域に愛される事業展開を進めたい」

中江優子社長の社長就任以来、樋口メリヤス工業では環境に配慮した取り組みも続けている。まずは、靴下の製造過程で出る大量の化学繊維(ナイロン)を燃やして廃棄する代わりに、人形を作って希望者に提供するなどしてきた。その後、ナイロン廃材を出さない編み方を考案したという。

また、現在は大阪府の枚方、交野の両市内の河川に自生するヨシを活用する「世界初のヨシ糸が地域を紡ぐプロジェクト」に参加。ヨシ糸を使ったつつしたの商品化を進めている。

発育の早いヨシは、空気中の二酸化炭素を効率良く吸収することが期待されている。プロジェクトでは、地元のヨシ原を手入れしながら、糸に加工し、靴下や衣類などの魅力ある商品を創出しようとしている。中江社長は「地元の河川の環境保全に役立ちながら、天然繊維のヨシ糸を通じて繊維業界の活性化にもつなげたい」と話している。




引用元の記事はこちら(https://news.yahoo.co.jp/articles/161d710b9a4cb005ee9a9ef07ef7c690c150c3a0)


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