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「カキフライの自販機」を作った理由

2021年06月19日

「カキフライの自販機」を作った理由、製造社長が語る開発秘話

 昨年12月、東京・虎ノ門にある商業施設「虎ノ門ヒルズ」に珍しい自動販売機が設置された。売られているのは、冷凍のカキフライや、生食用カキのハーフシェルだ。飲食業界はコロナ禍となって以降、ECサイト販売やフードデリバリーサービスを充実させてきたが、このカキフライ自販機はそれ以前からの地道な取り組みによって生まれたものだった。(清談社 鶉野珠子)

● カキフライ自販機を 開発した理由

 「カキフライの自動販売機を開発した理由は、コロナウイルスの感染拡大とまったく関係がありません」

 そう話すのは、カキフライ自販機を設置した「株式会社 ファームスズキ」の鈴木隆社長。ファームスズキは瀬戸内海にある離島、広島県の大崎上島町で塩田跡を活用し、カキと車エビを養殖している。自社の製品を「自販機で売ろう」と考えたのは、今から3年前のことだった。

 「当社は生食用のカキをメインに販売しているのですが、カキのシーズンである11~3月以外は、なかなか安定した売り上げが出せないでいました。さらに、離島なので悪天候でフェリーが欠航すると、その日は商品を出荷できません。生鮮品だと出荷を遅らせることはできませんが、冷凍品ならそれが可能です。そうした理由もあって、2018年、生鮮食品を瞬間凍結できるフリーザーを導入しました」(鈴木氏、以下同)

 冷凍品を取り扱うようになり、これまではピークの11~3月に数人ほどを雇っていたというアルバイトの人々を、オフシーズンにも雇用できるようになったという。これまでは従業員もシーズンごとに入れ替わっていたが、勤続している人を確保できるようになって作業効率もアップした。

 「売り上げや雇用が安定していくなかで、より多くの人に自社のカキを食べてもらいたい、ゆくゆくはカキの本場である海外にも展開したいと考えるようになりました。そこで、自販機で売ればいいのでは、と思いついたのです」

● 生産地や生産者の紹介のために 動画を流せるモニターを設置

 こうして、2018年の瞬間凍結機の導入をきっかけに、自社のカキ製品を自販機で売る方法を考え始めたのだが、実現はたやすいことではなかったという。

 「大手の自販機メーカーに企画を相談したのですが、『そのレベルの冷凍自販機を作るなら、最低でも1000台からの注文でないと難しい』と言われてしまいました。1000台もの自販機を発注できるだけの資金は当社になかったので、別の方法を考えました」


 鈴木氏が考えたのは、相談に乗ってくれたメーカーの既成品の冷蔵自販機を購入し、自分たちで冷凍用に改造するという方法だった。一般的な自販機は1台50万~60万円程度だが、鈴木氏は120万円のハイスペックモデルを購入。冷凍食品の販売を実現するには、ハイスペックなモデルでないと難しかったためだ。一般的なモデルと比べて倍以上の値段がしたが、それでも数年で減価償却できるはずという勝算があった。

 「1本150円のジュースを売るのでは、120万円の自販機の減価償却までに時間がかかります。しかし、われわれが売ろうとしているのは単価1000円以上のカキフライや生食用カキです。これならイケるだろうと思いました」  自販機を改造する上で、とくにこだわったのは「動画を流せるモニターを取り付ける」ことだった。  「カキやエビなどの一次製品はネットでも多数売られていますが、消費者からは『生で食べるものは、とりわけ生産者や生産地が気になる』という声が多くありました。そこで、自分たちがカキフライや生食用カキを自販機で売るならば、どういう土地で、どういうふうに作られているのか、きちんとお見せしたいと思ったのです」

 さらに、タッチパネルで商品を選択できるようにし、決済については完全にキャッシュレス化。これにより、広島の離島からでも、東京・虎ノ門の自販機の売り上げがリアルタイムでチェックできるようになった。

 「開発当初からの目標の一つに、自販機を海外進出させることを掲げていました。そのため、思い切って現金決済は切り離し、キャッシュレス決済に特化させたのです」

● 専門店や高級店の カキフライを自販機で  紆余(うよ)曲折あって完成したカキフライの自販機は、改造費も含め、1台当たり総額450万円ほどになったという。利益を出すには毎月約50万円の売り上げが必要となる。  虎ノ門ヒルズに出店した理由は、単価1200円の冷凍カキフライを買ってくれる人が多いだろうとの計算からなのか。




 「ビジネス的な戦略で虎ノ門に出店しようと思ったわけではありません。虎ノ門に店を構えるスーパーマーケット『福島屋』の会長が、昨秋にうちの養殖場に来られたとき、カキフライ自販機の設置をお願いしました。当社の、自然の力を最大限に利用した有機的で持続可能な養殖方法が、福島屋のコンセプトと重なるということもあって、虎ノ門ヒルズのお店に自販機を置いていただけるようになったのです」

 日本ではカキの多くはむき身で流通・消費されるため、むき身を効率的に量産できる筏(いかだ)養殖が多い。一方、欧米では多くが活きたまま殻ごと流通・消費されるため、安定した身入りと見た目の美しさにもこだわり、カゴで養殖している。欧米式の養殖方法は国土の狭い日本では生産量も限られるが、それでも品質の良いカキを育て続けてきたことで、思わぬ縁が結ばれたわけだ。  「虎ノ門ヒルズだと、オフィスを利用する人が平日に購入してくれます。リピーターも多く、全体の約3割程度を占めています。日本で多く流通している冷凍食品のカキフライは、小ぶりなカキに、添加物や調味料を多量に入れた衣をつけて揚げているものが多いです。しかし、当社で作るカキフライは、鮮度の良いカキに、有名レストランでも使われている無添加の生パン粉を使用しています」  スーパーの総菜コーナーに置かれているようなカキフライは、その分だけ価格も安くなっている。しかし、「高くてもおいしいカキフライが食べたい」と思ったとき、わざわざ専門店や高級店に行かなくても買える自販機は手が出しやすい。

 「『1200円のカキフライ』というと高価に感じますが、生でも食べられるクオリティのカキ、保存料や調味料不使用の衣を使用しているので、味は保証します。今は共働き家庭が増えるなどし、揚げ物をしたくても時間がとれない人も多く、市販の揚げ物の需要は高まってきていると思うので、今後は、添加物や調味料不使用の衣を使っていることなど、商品のこだわりをよりアピールして、多くの人に手に取ってもらいたいですね」  東京と地元広島で販路を拡大した後、海外にメイドインジャパンのカキを届けたいと意気込む鈴木氏。「海外では生ガキが主流ですが、揚げ物が好きな外国人に、カキフライはきっと受け入れられると思います」と、力強く語る。  天ぷら、すし、ラーメンなど、海外で人気の日本食。いずれ、カキフライもその一つとなる日が来るのかもしれない。




引用元の記事はこちら(https://news.yahoo.co.jp/articles/674c9b2ff8a93eb3147ea7e81f3676541c01667b)


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