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英単語を必死に覚えようとする人は伸びない…

2023年04月05日

英単語を必死に覚えようとする人は伸びない…

英単語を必死に覚えようとする人は伸びない…何カ国語も操る"語学の天才"たちの一見非効率な勉強法

4/4(火) 15:17配信
プレジデントオンライン


単語帳を片手に必死に英単語を覚えても、いっこうに英語のレベルは上がらない。その一方で、みるみる上達していく人たちがいる。何が違うのか。『超「超」勉強法』を著わした野口悠紀雄さんは「何カ国語も操る“語学の天才”たちがいます。共通して実践していたのは、じつは文章の丸暗記法なのです」という──。(第2回/全3回)



 ※本稿は、野口悠紀雄『超「超」勉強法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■単語を覚えるのでなく、文章を丸暗記する

 多くの人が、単語帳を使って英単語を覚えようとしています。意味を知らない単語を単語帳に書き出し、それを覚えるという方式です。

 しかし、この方法では、いつになっても英語は上達しません。単語帳の言葉を1つ1つ、別々に、孤立して覚えようとしても、できません。

 人間は関係のないものを、バラバラに覚えることができないのです。だから、英単語を孤立して覚えることはできません。これは外国語に限ったことではありませんが、とくに外国語についてはそうです。

■言語は「つながり」で覚えるもの

 その証拠は、略語を覚えるのが難しいことです。例えば、SDGs、NFT、IoT、WHO、LGBTなど。SDGsだったか、それともSGDsだったのか、分からなくなったりします。

 略語を覚えるより、もとの言葉を覚えるほうが、ずっと楽です。例えば、SDGsでなく、Sustainable Development Goalsのほうが覚えやすい。意味を知って覚えるからです。

 意味がないことであっても、つながっていれば、そして繰り返せば、覚えられることがあります。そして忘れません。「門前の小僧習わぬ経を読む」といわれる通りです。

■記憶は関連するものの芋づる式

 記憶を確実にする方法は、覚える内容を長くすること、そして、意味ある内容を覚えることです。できれば、ひとまとまりの文章として覚えることです。

 記憶は、人間の頭の中にいつまでも存在するけれども、引き出せなくなってしまうのです。忘れてしまうのではなく、思い出すのが難しいのです。


 私のイメージでは、時間が経つにつれて記憶は徐々に沈んでいく。何か手がかりがないとつかめなくなります。

 ですから、記憶は、関連づけで思い出せます。何かを思い出すと、それとの関連で芋づる式に出てくるのです。

■人間の脳は「検索」ができない

 忘れてしまった人名を思い出すために、「あ」から順に確かめることを、多くの人がやっているでしょう。最初の1文字との関係で、名前を思い出せることが、よくあるからです。「か」まで来て、「加藤君だった」と思い出す、といった具合です。

 デジタル情報の場合も、時間が経つと、記憶装置には残っているが、引き出せなくなります。ですから、「検索」は偉大な発明です。

 ところが、人間の脳にある情報に対しては、「検索」はできません。仮にできても、検索語が分かりません。

■文章を丸暗記する

 では、どうしたらよいでしょうか? 

 単語ではなく、文章を丸暗記すればよいのです。なるべく長い文章(できれば本1冊)を暗記します。文章を覚えていると、1つのきっかけから大量の記憶を引き出せます。

 私がこの方法を発見したのは、中学生のときでした。学校の代表として英語弁論大会で話す必要があり、スピーチの全文を覚える必要があったからです。そのとき、最初を思い出せば、つぎは自動的に出てくる、どこか途中を思い出せばその後は出てくる、ということに気づきました。

 そこで、高校生になってからは、ひたすら文章を暗記しました。翻訳はしません。ただし、意味は理解します。

■20回音読する

 勉強して頭が疲れたら、息抜きのために英語を読んでいました。暗記しようと特別の努力をするのでなく、ただ読んでいるだけですから、精神的な負担はありません。

 20回ぐらい読めば、たいていは覚えられます。音読するほうがよいと思います。五感を使うからです。

 ですから、英語の勉強で苦労はしませんでした。早い段階でこの方法を見つけられて、私は運が良かったと思います。

■丸暗記法に一夜漬けは不可能

 この方法の問題は、時間が必要なことです。一夜漬けはできません。

 なお、一見して非効率です。意味を知っている単語を含めて覚えるのでは、記憶容量をたくさん使ってしまうような気がします。しかし、人間の記憶容量はそれほど小さくありません。

 ほぼ無限に覚えられます。すでに述べたように、引き出せなくなるだけのことです。

 この方法で覚えた英語は、学校を出た後も有用です。ですから、受験というインセンティブと勉強時間が与えられたことを、ありがたいと思って実行すべきです。

■「部分(単語)から全体(文章)」でなく、「全体から部分」

 本書『超「超」勉強法』では第2章で、数学について、「部分(基礎)を積み上げて全体を理解しようとするのでなく、全体を把握して、部分(基礎)を理解するほうがよい」と述べています。

 これまで述べてきた英語の分解法と丸暗記法の違いも、同じです。分解法では、単語を文法によってつなぎ合わせて、文章を理解しようとします。つまり、部分を積み上げて全体を理解しようとするのです。


 それに対して、丸暗記法は、文章を暗記して、そこから単語の意味を理解しようとします。つまり、「全体を把握して、部分を理解する」のです。数学の場合と同じく、分解法では成果が上がりません。丸暗記法のほうがずっと効率的な勉強法なのです。

■丸暗記法で勉強した語学の天才たち

 「丸暗記がよいとは、信じられない」という意見があるかもしれません。しかし、これは、私の勝手な思い込みではありません。

 ハインリッヒ・シュリーマンは語学の天才です。15歳で多くの外国語を習得し、貿易商を営みました。それに成功して資金を貯め、トロイの遺跡を発掘したのです。彼も丸暗記法で、外国語の文献をいくつも覚えました。決して翻訳しません。

 リンカーンは貧しい家に生まれて独学で勉強しましたが、本を持ち歩き、常に声に出して読んでいました。声を出して読み、耳で聞けば、黙読するよりも理解力が高まるのです。リンカーンは、音読した本のほとんどを暗記していたといわれます。

 もう一人は、フォン・ノイマン。ハンガリー生まれの天才数学者です。アメリカで仕事をするため英語が必要になったのですが、彼も丸暗記法です。

■英語の授業がダメなのは教師の保身が原因…

 英語の教師が丸暗記法を勧めないのは、重大な問題です。本当は「ここからここまでを全部暗記せよ。1時間たったら皆の前で暗唱させるから、真面目にやれ」と言って、あとは居眠りしていればいいのです。

 丸暗記だけだと、教師のすることがなくなってしまう。だから失業してしまうと考えるのかもしれません。

 しかし、皆の前で発表してできなければ恥をかくというインセンティブを与えておけば、英語のクラスは意味を持つことになります。

■分解法では英語ができるようにならない

 日本人の多くが、分解法で英語を勉強しています。これは、単語を覚え、それを文法でつなぎ合わせようという方法です。

 しかし、この方法はうまくいきません。なぜなら、日本語と英語は、異なる体系の言語だからです。

 同じ系統の外国語の間でも、分解法より丸暗記法のほうがよいのです。シュリーマンはドイツ人です。英語とドイツ語は同系統の言語ですから、分解法でもできるでしょうが、それでもなお、丸暗記しました。

 フォン・ノイマンはハンガリー人で、ハンガリー語は英語とかなり違う系統の言語なので、丸暗記は合理的です。ましてや、日本人の場合はそうです。

■英語と日本語の単語は一対一の対応をしない

 例えば、haveという言葉の意味を「持つ」と覚えるのは、間違いです。それ以外の意味がたくさんありますし、現在完了形にも使われます。また、I have got to do.といえば、I must do.の意味になります。haveを「持つ」と考えると、混乱するでしょう。

 逆に、「持つ」という意味の英語は、haveだけではありません。bear、carry、wear、hold、possessなど、さまざまなものがあります。これらを、場合によって使い分ける必要があります。

 このように、日本語と英語の単語は、一対一の対応をしません。多対多の対応になるのです。これは、動詞の場合にとくに顕著です。do、get、let、makeなどの言葉について、haveと同じような問題があります。

 ですから、英語の言葉を単語帳で覚えようとすれば、混乱するばかりです。それらの言葉が使われている文章を覚えるしか、方法はありません。


■文法も一対一の対応をしない

 文法についても、日本語と英語には一対一の対応がありません。

 中学生のときの英語の授業で、ある生徒がした質問を、そのときの情景とともに、いまでもはっきりと覚えています。

 「私は少年です:I am a boy.」の文章について、「私」はI、「少年」はa boy、「です」はam、であることは分かりました。それでは、「は」に対応する英語はどれなのですか?  という質問です。

 これは、英語と日本語の文章構造が一対一の対応関係にあるとの誤解から発せられた質問です。こうした誤解にとらわれている限り、英語は上達しません。

 英語と日本語が一対一に対応しないのは、学び始めの中学生には分かりません。だから、「日本語の『は』に対応する英語は何なのか?」とは、自然な疑問です。

 日本語では、「私は」と「私が」では意味が微妙に違います。「それを英語でどう区別できるか?」というのは、大変「良い」疑問のように思えます。しかし、この疑問は、実は間違いなのです。

■「英語の世界で物事を見よ」

 私はこの質問にあまりにびっくりしたので、先生の答えを覚えていないのですが、教師は、「そのように考えては、英語は上達しない」と教えるべきです。「英語は日本語と別の体系なのだから、日本語に対応づけようとせず、英語の世界で物事を考えよ」と教えるべきです。

 英語と日本語がまるで違う言語であることの例は、これ以外にもいくらでもあります。

 例えば、日本語では命令形はかなり強い意味になり、目上の人に対してはおろか、対等の人に対しても使いません。ところが英語では、どんな人に対しても、ごく普通に命令形の文章を使います。

 なお、分解法のもう1つの問題は、退屈なことです。単語覚えも退屈、文法も退屈。こういう勉強をしているから、嫌になってしまうのです。

■英語脳を作る必要がある

 では、どうしたらよいでしょうか? 

 This is a desk.であれば、机を指差している姿を想像します。そして全体を一括して覚えるのです。翻訳はしません。ただ、意味は理解します。

 つまり、日本語で物事を理解することをやめて、英語で理解するのです。これを「英語脳に切り替える」と言うことができます。これは、日本語とは別の思考回路だと思われます。

 英語で討論する場合なども、即座に反応する必要があるので、英語脳で考えていないと対応できません。

 ですから、英語の授業を日本語でやるのは、おかしいのです。英語の授業は英語で行なうべきです。英語脳を作るためです。

■Oral Direct Methodを導入しよう

 日本では、漢文を日本語に直す方法が長く続いたので、それと同じ方法で英語を教育しようとする考えがありました。明治の中頃に英語教育を始めるときに、どちらにすべきかという論争があったのです。

 「正則」というのが、いま行なわれている方式です。「変則方式」(漢文と同じように読む)にしないでよかった。そうしたらどうしようもなかったでしょう。

 それでも漢文方式の名残があって、英語の学び方の基礎になってしまっているのです。

 正則方式をもっと進めて、授業のすべてを英語で行なうというOral Direct Methodが最も望ましいのですが、これは教師の力不足で実現しませんでした。いまに至るまでそうです。



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野口 悠紀雄(のぐち・ゆきお)
一橋大学名誉教授
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問を歴任。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書に『「超」整理法』『「超」文章法』(ともに中公新書)、『財政危機の構造』(東洋経済新報社)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社)、『日本が先進国から脱落する日』(プレジデント社)ほか多数。



引用元の記事はこちら(https://news.yahoo.co.jp/articles/c09d0faa4d4d093d4683cc468ef9beb711fb5921)


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