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かねて売却が噂されてきたLIXILビバ。

2020年06月21日

あのビバホームを買収!ホームセンター下克上

LIXILから1000億円で買う、新潟企業の正体

前田 佳子 : 東洋経済 記者



かねて売却が噂されてきたLIXILビバ。親会社LIXILグループとの取引関係はほとんどなかった。写真は「ビバホーム」板橋前野店(記者撮影)

まさに”小が大をのみ込む”構図である。6月9日、ホームセンターで業界11位のア―クランドサカモトは、同業6位のLIXILビバを完全子会社化すると発表した。買収金額は1085億円にも達し、早ければ今年12月にも完了する見通しだ。

「総合スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストア、100円ショップなど、他業種との競合が激しくなっている」(アークランドサカモトの坂本勝司会長)。新潟県地盤でホームセンターの「ムサシ」(38店)を展開する同社は、独立系で超大型店という特徴を持つ。大手チェーンとは一線を画す存在として、1970年の設立から外食や食品スーパー、卸売事業など幅広い事業を展開してきた。

ただ、頭打ちの続くホームセンター業態を尻目に成長を牽引してきたのは、アークランドサカモトの上場子会社でカツ丼専門店「かつや」などを運営するアークランドサービスホールディングスだ。買収発表前の5月末時点でアークランドサービスの時価総額が約630億円なのに対し、親会社のアークランドサカモトは約490億円。成長性に対する株式市場からの評価は厳しかっただけに、買収に1000億円以上も投じるインパクトは大きい。

アークランドサカモトはLIXILビバと比べ、事業規模も大きく見劣りする。「ビバホーム」は102店と、「ムサシ」の2.5倍の規模で展開する。9日の記者会見ではLIXILビバの渡邉修社長が「足元のコロナ禍(による巣ごもり消費)で業界は活性化している。新しいマーケットの変化を主導してゲームチェンジしたい」と、およそ買収される会社とは思えぬ意気込みをみせた。ア―クランドサカモト側も「ノウハウを吸収したい」と期待を寄せている。






女性支持高いカインズ、統合で拡大したDCM

身の丈以上の大型買収を決断した背景には、アークランドサカモトの強烈な危機感がある。数年前から「人口の多い都心部へホームセンターを出店したい」(志田光明取締役)と出店地を探し、2019年8月には久喜菖蒲店(埼玉県)を開業して関東初進出を果たした。が、自前で大型店を出店すると時間を要するため、事業のスピード感がネックとなっていた。

その間にも競合大手は着実にシェアを広げてきた。2020年に非上場ながら業界トップに登り詰めたのがカインズだ。群馬発祥のベイシアグループ傘下で、兄弟会社には作業着専門店のワークマンがある。「カインズ」の場合、ホームセンターらしからぬおしゃれなPB(プライベートブランド)商品の開発に定評があり、若い女性客を取り込みながら快進撃を続ける。

僅差で2位に陥落したDCMホールディングスは、相次ぐM&Aで規模を拡大してきた。傘下に「カーマ」「ダイキ」「ホーマック」「サンワ」「くろがねや」を擁し、2017年には「ケーヨーデイツー」を展開するケーヨーの株約20%を約70億円で取得、持ち分会社化している。


そして業界3位に急浮上したのがコーナン商事。近畿圏で「コーナン」をドミナント展開するが、2019年6月にLIXILからプロ向け資材卸の建デポ(東京)を約240億円で買収し、「高値買収だ」と業界をざわつかせた。今年2月には、「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス子会社のドイトから、関東地盤のホームセンター「ドイト」を約68億円で譲受。昨秋には川崎市に物流センターを建設するなど勢いが止まらない。

4位のコメリは新潟発祥ながら、農業資材を強みに、全国展開を続けてきた。北海道への大量出店を掲げてきたが、足元では関東への出店拡大に意欲的。農家向けに”収穫期払い”を導入するなど、独自戦略で右肩上がりの成長を続けてきたものの、今年に入ってコーナン商事に抜かれてしまった。

それらに続く5位が九州地盤のナフコだが、今回の買収劇によって、アークランドサカモト+LIXILビバの連合と入れ替わることになる。アークランドサカモトは買収の最たる目的に、「規模拡大による仕入れ値低減とPB商品の開発」(志田取締役)を掲げる。今やPB商品開発は、ホームセンターにとって最重要戦略であり、店舗網が乏しいとスケールメリットも出せないため、思うように展開できていなかったからだ。


日用品の乱売から、DIYや園芸など原点回帰へ

ホームセンターの市場規模は3.9兆円と、2003年から頭打ちが続く。一方で店舗数は、2003年の3860店から2019年の4810店まで増加している(日本DIY・ホームセンター協会調べ)。この間に業界再編も繰り返されてきたが、近年では「停滞市場では救済型のM&Aでないと割高になる。自前出店のほうが手堅い」(大手ホームセンター幹部)と、買収には静観ムードが漂っていた。

長らく業界を悩ませてきたのは利益率の低下だ。オーバーストア状態で生き残りをかけて安売り競争を仕掛けたら、ドラッグストアやディスカウントストアも入り乱れる、日用品の特売合戦に陥ってしまった。それらと一線を画すため、DIY(日曜大工)や園芸といった本来の得意分野にシフトすることで、差別化を図る戦略に切り替えてきたのである。

本業回帰で効果を発揮したのが、PB商品の開発だった。ホームセンターでの売れ筋商品は店舗によって定番化しており、PB商品に切り替えることで安売りを回避できる。独自商品が充実してくれば、他店との差別化にもつながる。これが奏効したのが、カインズやコメリである。コメリの売上高に占めるPB比率は約42%と高く、農業用長靴ほか複数のヒット商品を生み出している。LIXILビバもPB比率は26%あり、10%にとどまるアークランドサカモトと共有化するだけでも、スケールメリットが見込めそうだ。

PB強化だけではない。それと並行してDCMをはじめとする各社は、売り場を縮小して空きスペースに100均店を導入するなど、集客にも力を入れてきた。坪単価を向上させるべく涙ぐましい努力を積み重ねることで、飽和状態のホームセンター業界で何とかシェア拡大を図ってきたのだ。


前述したように、ホームセンター業界は目下、コロナ禍の余波で久方ぶりの絶好調に沸いている。なかでもアークランドサカモトは、5月の既存店売上高が前年同月比21・1%増と好調ぶりが際立つ。「戦略的にマスク調達に動いたことなどが集客につながった」(志田取締役)ことに加え、超大型店ゆえに“3密”を避けられることなども後押ししたもようだ。

各社は現在の活況を一時的と捉えつつも、「”StayHome”のライフスタイルが根づけば、DIYや園芸、ペット用品の需要は増えてくる」と希望を捨てていない。実は今回のLIXILビバの買収を巡っては、入札に複数社が参加したという。しかし、業界大手ほど出店エリアの重複を考えると、高値での買収に踏み切れなかったという事情もあったとされる。


地方のホームセンターや大手流通も巻き込むか

アークランドサカモトは生き残りをかけて、1000億円超えの買収に踏み切ったが、代償も小さくない。利益剰余金600億円を有し実質無借金経営を続けてきたが、買収資金として銀行から1000億円を借り入れることで、財務体質はかなり毀損する。買収完了後はLIXILビバと共同持ち株会社を設立、より具体的な成長戦略を練ることになる。小が大をのみ込む買収だけに、企業文化をすり合わせるだけでも一苦労だろう。
2019年8月にオープンした関東初進出となる「ムサシ」久喜菖蒲店(埼玉県)は駐車場1400台を備える超大型店(写真:アークランドサカモト)

長らく凪状態が続いてきたホームセンター業界だが、今回のアークランドサカモトによる大型買収劇が、再々編の新たな火種となってもおかしくない。地方の中小ホームセンターの淘汰がじわりと進むほか、イオンのような大手流通企業や大和ハウス工業なども、ホームセンター業態を展開している。今後台風の目となってくるのは、ずばり、オーナー系の中堅企業になるだろう。





引用元の記事はこちら(https://toyokeizai.net/articles/-/355984?utm_source=yahoo&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=related)


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