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三菱地所レジデンスの国産木材を使った「箱」

2020年10月12日

書斎の需要 業界の悩みの種に

在宅勤務で急浮上、「書斎」導入にあの手この手、「住む」と「働く」の両立へ、変わる住宅の機能

在宅勤務の広がりが住宅の役割に変化を迫っている。衣食住を担う住宅に、突如職場としての機能が求められるようになったためだ。

 とりわけ脚光を浴びるのが、家庭内職場ともいえる「書斎」。ところが、降って湧いた書斎需要は住宅業界にとって悩みの種となっている。

■収納内に「書斎」を組み込む

 東急不動産は9月、コクヨと共同で洋室内に設けるテレワーク用ブースを開発した。東急不動産が世田谷区内で分譲中のマンション「ブランズシティ世田谷中町」に順次導入する。マンション購入検討者の希望に応じて、壁面収納内にコックピッド型のブースを設ける追加工事を施す。収納の一部を転用するため、新たに間取りを変更する必要がないのが特徴だ。

 東急不動産住宅事業ユニットの谷口真耶係長は、「100平方メートルを超えるくらい、住戸が広ければ書斎を用意できるが、70~80平方メートル程度(の一般的な住戸)ではスペースの確保が難しい」と話す。ブランズシティ世田谷中町の分譲住戸は70~80平方メートル台が中心で、テレワーク用ブースの需要を掘り起こす。

 デベロッパー各社が提案するマンション住戸内の書斎は三者三様だ。緊急事態宣言が明けて間もない6月、三菱地所レジデンスはマンション購入検討者に対して、国産木材を使った「箱」の設置を提案すると発表した。箱は幅約177センチ、高さ約162センチ、奥行き約75センチ。大人1人が座って仕事ができる程度の大きさで、リビングなどに設置すれば簡易的な集中ブースとして機能する。

 三井不動産レジデンシャルも8月、正面と左右の三方を吸音仕様の衝立で囲ったデスク「Pocket Desk(ポケットデスク)」を開発。自社分譲マンションの購入検討者への提案を進める。

 間取りに手を加える動きもある。野村不動産は7月、隣り合った洋室の間に引き戸を設置することで、住戸内に2畳分の書斎スペースを設けるプランを発表。神奈川県藤沢市内で11月販売予定のマンションに導入する。

 ところが、開発現場からは「できれば書斎は導入したくない」(大手デベロッパーのマンション商品企画担当者)。書斎という新たなスペースの確保は、昨今のマンション開発の傾向に逆行する動きだからだ。
 土地代と建築費という原価高騰を受けて、マンション価格は上昇が続く。不動産経済研究所によれば、首都圏で発売されたマンションの平均価格は2009年の4535万円から、2019年には5980万円にまで約3割上昇した。その一方で家計の所得は伸び悩み、家計の懐は住宅価格の上昇に追いついていない。

■マンション面積縮小の流れに逆行

 マンション価格を抑える苦肉の策として、デベロッパー各社が打ち出したのが住戸面積の縮小だ。面積を削れば土地代や建築費が浮き、販売価格を下げることができる。その結果、一般的なファミリー向け住戸として、2000年代は80平方メートル台の4LDKが大量に供給されていたが、昨今は60平方メートル台の3LDKが主流だ。

 コロナ禍がもたらした書斎需要は、こうした面積圧縮の潮流とぶつかる。日鉄興和不動産は、住戸内の洋室とは別に2~3畳の小部屋を設ける「モアトリエ」を提供している。元々は納戸やちょっとした趣味の部屋としての利用を想定していたが、在宅勤務の普及を受けて書斎としての活用も打ち出した。

 このモアトリエ、元々は「ユトリエ」の名称で2012年から展開していた。当時の面積は「3畳」だったが、3畳を確保できる住戸が限られてきたため、いつしか「2~3畳」と幅を持たせるようになった。

 住環境に支障をきたさないように書斎スペースを捻出するため、マンションの開発担当者は知恵を絞っている。三菱地所や三井不動産はリビングから、東急不動産は収納スペースから、野村不動産は洋室から面積を拝借する選択をしたといえる。

 今後も巣ごもりが長引けば、住宅に対する悩みが増える可能性もある。

 中堅デベロッパーの日本土地建物は8月、東京インキが保有するさいたま市内の社宅跡地に14棟の賃貸戸建て住宅を建設した。60平方メートル後半の広さで家賃は13万円台。都心部より割安だが、現地までは埼玉新都市交通「東宮原駅」徒歩6分、JR高崎線「宮原駅」徒歩14分と利便性には劣る。


 にもかかわらず、すでに全14棟のうち11棟の契約が済んでおり、入居は順調だという。施工を担当した日土地建設の渡邉正之取締役執行役員は、「新宿や世田谷在住の世帯からも申し込みがある」と話す。

 この物件は全棟に書斎として利用できる小部屋を設けているほか、郊外の広い土地を生かしてゆとりを持たせた。楽器演奏や大型犬の飼育、1棟あたり2台分の駐車場スペースが可能になり、こういった機能面のよさが奏功したようだ。外出自粛で自宅で過ごす時間が長くなれば、これまで気づかなかった住宅に対する不満が顕在化する可能性がある。

■収納や書斎をアウトソースする動きも

 デベロッパー各社は価格上昇の要因となる住戸の面積拡大には及び腰だ。土地代の安い郊外なら面積を広げても価格上昇は抑えられるが、利便性や資産性を重視する客からは敬遠される。

 面積を維持しつつ客のニーズに応える策として、本来住戸が持つ機能を外部に委託する動きも進んでいる。面積縮小に伴って不足した収納スペースを補うべく、外部のトランクルームと連携したり、マンションの共用施設にコワーキングスペースやジムなどを設けたりする動きはその一端だ。

 東急不動産は東京・秋葉原で運営する賃貸マンションの入居者向けに、自社で運営するシェアオフィス「ビジネスエアポート」の利用券を1世帯あたり10回分配布した。日額3000円からのサービスだが、住戸では吸収しきれない書斎ニーズの受け皿として外部施設を活用する。

 マンションに無理矢理書斎をねじ込む戦略はいずれ限界を迎える。欲しい機能を導入しやすい戸建てに対抗するには、利便性やスケールメリットを生かして外部施設を活用し、機能を補完できるかが解決策の1つになるかもしれない。




引用元の記事はこちら(https://news.yahoo.co.jp/articles/417ce6cb361888a0fa247856b8ebee4383187a08)


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