ようこそ! ビジター様(ビジター)   ログイン
友達&メッセージを見る
メッセージ&会員一覧
オーナーの掲示板
近況報告
ホーム
ホーム

談話室

お知らせ

トピックスのスライドショー毎日1枚、その日のトピックス写真を表示します。

トップページへ戻る

(2021年04月01日)前日    (2021年04月02日)    翌日(2021年04月05日)

中国のEVの好調ぶりをリードする「宏光MINI EV

2021年04月02日

中国で「48万円のEV」が大ヒット、なぜ“突然”売れ始めたの

 2020年後半から、中国で突如として電気自動車(EV)が売れ始めている。その背景には、コロナ禍を契機にした意識とライフスタイルの変化がある。市場をリードしているのは、「代歩車」と呼ばれる小型で低価格のEV。ただ、テスラなどの400万円前後の高級車も売れている。代歩車では「クルマの玩具化」、高級車では「クルマのデバイス化」が売れる鍵になっている。中国政府が掲げる「2025年にEV化率20%前後」までには、まだまだ乗り越えなければならない課題はあるが、目標達成への道筋が確実に見え始めている。


2020年の前半は、コロナ禍の影響で、前年割れが続いたが、7月から前年超えとなり、9月以降は販売記録を更新し続けている(出典:乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計より作成)


●中国で「突如として」売れ始めたEV

 中国で2020年7月から電気自動車(EV)を中心にした新エネルギー車が売れている。その事実を多くの中国メディアが「突如として」という形容詞を使って報道している。

 自動車産業の業界団体である乗用車市場信息聯席会(CPCA)の統計によると、2020年2月から6月まではコロナ禍の影響により、新エネルギー車の販売台数は前年割れとなっていたが、7月から売れ始め、中国政府が事実上の新型コロナ終息宣言を行った9月以降、記録を更新し続けている。


 新エネルギー車とは、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)、その他の新エネルギー車の総称だが、85%程度がEV、15%程度がPHEVでほとんどを占める。


 コロナ前、中国の自動車市場、新エネルギー車市場の前途は明るいものではなかった。自動車全体は、2017年の2887.9万台をピークに減少傾向が続いている。一方、これに入れ替わるようにして増えるはずだった新エネルギー車も2019年は前年割れとなり、EVシフトに黄色信号がともった。それが2020年後半の需要急増で、2020年は136.7万台と記録を更新することになった。


●「EVを買って後悔」、消費者の心は離れていたのになぜ?

 突如としてEVが売れ始めた理由は、何よりもコロナ禍による消費者の意識とライフスタイルが変化したことが大きい。他人と接触することなく移動できるマイカーという移動手段が再評価されている。

 コロナ禍以前、消費者の自動車に対する関心は薄れていた。特に若者の車離れが進んでいた。中国の若い世代は1日に7.5時間もスマートフォンを使うとも言われる。運転をする時は、スマホが使えないというのが最大の問題だった。


 一方で、公共交通はQRコードやNFC(非接触通信)を使ってスマホで乗れるようになり、シェアリング自転車やタクシー配車、ライドシェアもスマホから利用でき、簡易的なMaaS(マース)環境が実現できている。

 さらに、大都市では、曜日によってナンバー末尾による乗り入れ規制、深刻な駐車場難などの問題もあり、多くの若者が公共交通を使って、スマホを使う時間にあてたいと考えるようになっていた。

 また、EVは航続距離の問題、バッテリー発火事故に対する不安などもあり、ガソリン車もEVも売れないというのが、コロナ前の中国における車市場だった。

 中国の自動車関係メディアは、「EVを買って後悔している」というオーナーの声を頻繁に取り上げている。最大の理由は、自動車特有の自由さが失われることだ。

 ガソリン車であれば、「今日は天気がいいから山の方に行ってみよう」という気ままなドライブが楽しめる。しかし、EVではそうはいかない。事前に、充電ステーションの場所を調べておき、ドライブルートをある程度決めておかないと、バッテリー切れで立ち往生することになる。多くのオーナーが「遠出をする回数が減った」と言う。


●EVの欠点を打ち消せたワケ

 これがコロナ以降、変わった。中国では新型コロナは終息したものの、長距離移動は制限がかけられ続けている。多くの都市で、省外などの長距離移動に関しては、出発7日以内に検査を受けて陰性証明を取得することや、帰ってきてからは7~14日間の自己隔離を、接触頻度の高い公務員や教員に課している。  このような状況により「内循環」と呼ばれる現象が起きている。本来は、貿易の外循環と国内経済の内循環の二本立てで経済を回復させていくという意味だが、移動制限のない同一省内、市内でのレジャーで地元経済を回す意味でも使われる。旅行アプリ「飛猪(フリギー)」の春節休みの間の観光地情報検索ランキングを見ると、「上海ディズニーランド」「霊隠寺(杭州市)」「広州長隆野生動物世界」など、大都市を抱えている観光地が上位にきている。  この他、フィールドアスレチック施設やスポーツアクティビティ施設なども人気で、多くの人が近隣の観光施設を訪ねるようになっている。当初は仕方なくだったのかもしれないが、それが、近隣スポットを再発見することにつながっている。  このような近距離移動であれば、EVの航続距離の問題はあまり考える必要がなくなり、EVの欠点が打ち消される。アフターコロナの意識変化とライフスタイルの変化が、EVの特性とうまく噛み合うようになったのだ。  EVとガソリン車は、見た目は似ているが、本質的には異なるツールで、使い方も異なったものになるはずだが、私たち消費者はそうは考えない。ガソリン車でできることで、EVではできない点を見つけては、それをEVの欠点として考えがちだ。それは、スマートフォンをPCと比較して、「画面は小さいし、キーボードもついていない」と嘆くようなものだ。  多くの自動車関係メディアが、EVメーカーの企業努力も評価している。コロナ以前は、どのメーカーもセダン1車種というパターンが多かった。これでは、消費者はEVと同クラスのガソリン車を比較検討することになる。どうしても、EVの欠点が目立ってしまう。  しかし、2020年になると、どのメーカーも、セダン、SUVなど数車種をそろえるようになった。すると、消費者はEVの車種、EVメーカー間で比較検討をすることになる。EVというカテゴリーの中で、車種やグレードを選んでいけるようになった。


●約48万円のEVが大ヒット、「クルマの玩具化」が進行中

 EVの好調ぶりをリードしているのは、A00級と呼ばれる小型車と、中型車以上の2つのカテゴリーだ。  A00級は、ホイールベースが2.0~2.2mという小型車で、日本の軽自動車(ホイールベースは1.8~2.5m程度)とよく似たクラスのEVだ。  このクラスでは、上汽通用五菱の「宏光MINI EV(ホングワンミニ EV)」が、生産が追いつかないほどの大ヒット商品になっている。カタログ航続距離は約120kmと短いが、2.88万元(約48万円)という価格が歓迎されている。販売店のサイトでは、頭金0.86万元(約14万円)、月々602元(約1万円)の36回払いのプランも用意されている。  エントリーモデルでは、暖房のみで冷房がついていないなど、いろいろ割り切ってはいるが、上汽通用五菱は米ゼネラルモーターズ(GM)、上海汽車、五菱の合弁会社であるため、品質に関してもGMの技術が活かされている。  外装、内装はシンプルだが、デザインレベルは高い。それが若者に受け入れられ、大胆な改造がちょっとしたブームになっている。アニメキャラクターをあしらったいわゆる「痛車」や、六輪車に改造した宏光MINI EVが、SNSやTikTokに大量に公開されている。まさに、ミニカーの改造と同じで、それを実車で行っている感覚だ。いうなれば、「クルマの玩具化」が起きている。  このような小型車は、「代歩車」と呼ばれている。「歩く代わりに使う車」という意味だ。宏光MINI EV以外にも、長城汽車の「欧拉黒猫」(猫をモチーフにした外観デザイン)、長安汽車の「奔奔EV」、合衆汽車の「哪吒V」(SUVスタイルの小型車)なども人気になっている。このような小型EVが、公共交通の発達していない地方都市では通勤、買い物用に、大都市では改造アイテムとして売れている。


●テスラなど400万前後でも売れるEV、カギは「デバイス化」

 新エネルギー車市場を台数ベースでリードしているのは代歩車だが、販売額ベースでけん引をしているのが、中級車から高級車のカテゴリーのEVだ。このクラスでは、テスラのモデル3を筆頭に、テスラ、BYD、ニーオの3社に人気が集中している。テスラは25万元(約410万円)から、BYDは22.98万元(約380万円)から、ニーオは35万元(約580万円)からと決して安くない。だが、それが売れている。その鍵になっているのが「クルマのデバイス化」だ。  人気の的になっているのが、3社ともに「オートパイロット機能」だ。テスラのモデル3にオートパイロットオプションをつけると6万元(約100万円)の追加出費となるが、多くの人がこのオプションを選択する。BYDもDiPilot、ニーオもNIO Pilotというオートパイロット機能を搭載し、一定条件下でのオートステアリングなどが可能になっている。  テスラのモデル3では、ドライバーポジションを10人まで記憶する機能がある。ワンタップで、その人のシート位置、ミラー位置などに設定してくれる。乗り降りするときは、シートを下げ、ハンドルを引っ込め、乗り降りしやすくしてくれる。さらに、話題になっているのが、スマートサモン機能(召喚機能)だ。駐車場などで、スマホから呼び出せば、自動運転で車の方が自分の目の前にきてくれるというものだ。  今、EVを購入している消費者は、本革シートや天然木ステアリングではなく、排気量や空力特性でもなく、こういう「機能」に高級感を感じている。  また、大型タッチディスプレイを搭載し、5G通信、車内Wi-Fi、音声操作によるSNS、音楽、映像サブスク、ARナビ(カメラ撮影した実風景にナビルートをオーバーラップ表示する)も常識になっている。機能を割り切って、価格を抑えている代歩車ですら、専用スマホアプリからバッテリー残量を見られたり、上位モデルでは音声操作可能なタッチディスプレイが装備されている。  Z世代(中国では95年以降生まれの20代前半)に対して行った、自動車に関するアンケート調査「中国Z世代自動車購入傾向調査」(OPPO他)には、面白い設問がある(調査時期は2020年10月)。それは「あなたにとっての自動車を表すのに適している言葉を選んでください」という質問で、「移動ツール」という言葉が最も多くなった。  しかし、他の世代の回答よりもZ世代の回答が多い順に並べると、1位が「テクノロジーデバイスのひとつ」、2位が「スマート機能のある移動空間」になる。つまり、Z世代は、自動車を自動車ではなく、スマホの延長線上にあるデバイスとして見ている。「走るスマホ」だという認識なのだ。


●「2025年に20%前後」達成も見えてきた

 EVが「突如として」売れたのは、コロナ後の消費者の意識の変化と、EVの特性がうまくシンクロをしたことも大きいが、EVメーカーが車種を増やし選択肢を広げ、デバイス化を進めるなどの努力をした面も大きい。各EVメーカーは、ガソリン車とEVは似て非なるものと位置付け、EVを商品として成熟させようとしている。  2020年11月、国務院は「新エネルギー車産業発展規則の配布について(2021-2035)」を発表し、その中で新エネルギー車販売割合目標を「2025年に20%前後」としている。  新エネルギー車(乗用車)を自動車販売台数で割ったものを仮に「EV化率」(注1)として計算してみると、現在のEV化率は5.40%となる。あと5年で、20%に乗せるためには、さらにEVシフトを加速させていく必要がある。

注1:商用EVの販売台数の統計がないため、ここで算出した「EV化率」は公式なものではなく、あくまでも目安となる。  EVが売れていると言っても、それは20台に1台程度のこと。まだまだ、新しい物好きな人が代歩車を買い、経済的に余裕のある人がテスラなどのEVを購入している状態にすぎない。これを5台に1台がEVの状態にするには、一般の消費者にEVをいかに普及させるかにかかっている。それにはまだまだいくつものハードルを越えなければならない。とは言え、中国で本格的なEVシフトが始まる起点になる可能性は十二分にある。  特に注目をしておく必要があるのは、2019年までの中国のEVシフトは補助金やEV製造割合の義務付けなど政策誘導による部分が大きかったが、アフターコロナのEVシフトは、消費者が自らの意思で選び始めているということだ。あるメディアは、このEV需要の急増は「突如として」ではなく、EVメーカーの企業努力が実り始めたもので、必然なのだと論評している。




引用元の記事はこちら(https://news.yahoo.co.jp/articles/8dff928d2faa6fa15a6ce84068e4d38424da7818)


トップページへ戻る

All rights reserved to Smatu-net Co., Ltd, powered by Alumnis(Smatu-net) ©2017