2020年10月14日
受話器2つ 謎の公衆電話/むつ、深浦に 地元民も??
受話器2つ 謎の公衆電話/むつ、深浦に 地元民も??/30年前に製造 希少な3者通話用
よく見ると、受話器が二つ。東北で5台しかないという希少な公衆電話「デュエットホン」が、青森県内ではむつ市のマエダ本店前と深浦町の海岸沿いの電話ボックスに計2台ある。デュエットホンは1990年、電話開業100年記念に製造され今年は30年の節目。付近住民でその存在を知る人は少なく、なぜそこにあるのか謎に包まれている。 デュエットホンは、電話をかける側の2人とその相手側1人の計3人が同時に通話できる。NTT東日本-東北公衆電話担当の菅(かん)敏明課長によると、バブル絶頂期ごろの1985年、3者で通話できる家庭用固定電話「トリオホン」のサービスを開始。その後「公衆電話でも3者通話を」との構想からデュエットホンが製造された。製造台数や設置台数は正確に追跡できていない。 むつ市には2001年10月に設置された。しかし、公衆電話は「どの機種をどこに」という設置基準がないため、設置された経緯は不明だ。買い物客が集まる商業施設前にあることから、菅課長は「当時の担当者か地権者が『この場所ならニーズがあり、使ってもらえる』と判断したのでは」と想定する。一方、マエダの前田大志専務は「存在を初めて知った。経緯を知る従業員は現在おらず、詳細は分からない」と話した。 マエダ本店のテナントで、入り口に面したクリーニング店に勤めて13年になるという女性従業員(63)は驚いた様子で「何のために受話器が二つ? どう使うのだろう」と話した。 一方、深浦町深浦岡崎の駐車場。かつてウオータースライダーが人気を集めた岡崎海岸近くにあるこの駐車場にも、デュエットホンが残っている。ただ、携帯電話の普及で公衆電話を気に留める人は少なく、近くの店舗経営者や複数の町役場OBは、設置の経緯について「初めて知った。分からない」などと一様に首をかしげていた。 菅課長は「全国的にもデュエットホンは非常に希少。普段、公衆電話を使う機会はあまりないと思うが、興味を持ってもらえたら3者通話を楽しんでほしい」と話している。
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