2021年10月28日
野趣あふれるむかごを、炊き込みご飯や天ぷらに
プロよりおいしく作れる 野菜料理の“ちょっとしたコツ”
身近な野菜で、プロよりおいしい野菜料理を作ってみませんか? 銀座の日本料理店「六雁(むつかり)」の店主・榎園豊治(えのきぞの・とよはる)さんに、家庭だからこそ実践できる“ちょっとしたコツ”を教わります。
むかご飯、むかごとぎんなんのかき揚げ
むかご飯、むかごとぎんなんのかき揚げ
むかごをご存じでしょうか? むかごは長いもや自然薯などのヤマノイモ属の蔓にできる直径1cm前後の灰茶色の球状の芽。表面に少数の突起があります。秋になるとやまのいもの蔓の葉の付け根あたり、枝分かれする部分にできはじめます。
9月下旬から11月初旬頃が収穫時期で、葉の色が黄色くなり、軽く触っただけでぽろっと落ちるようになったら完熟しています。栄養はやまのいもとほぼ同じで鉄分やカリウム、マグネシウムなどが豊富に含まれています。
野趣あふれるむかごを、炊き込みご飯や天ぷらに。ほっくりとした食感を楽しみます
和名は「ぬかご」または「むかご」、漢名は「零余子(レイヨシ)」です。和名が何に由来するかは定かではありませんが、漢名には次のような説があります。「零余子の零は雨のしずくのことで、そこから転じて僅か・少ないとなり、零余は残りが極めて少ないこと。また、零は静かにこぼれるように落ちる様子を表す際にも用いられる。そこで、漢名の由来はむかごのその小ささと蔓から離れ落ちるときの様子を表している」というものです。そしてこの説と一緒に味わいたい俳句が室生犀星にあります。「雨傘にこぼるる垣のむかごかな」。う~ん、音まで聞こえてきそうで風情がありますね。
風情といえば、今日ご紹介するむかご飯です。ほのかな苦み、そして甘み、その素朴なおいしさは、わびさびにも通じ、他の色飯とは一線を画します。
最近はスーパーマーケットでもむかごの取り扱いがあるようです。里山の世界に思いを馳せ、野趣あふれる野菜料理を楽しみましょう。
ちょっとしたコツ
・「むかご飯」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・むかごは水洗いすれば皮ごと食べられるが、皮の泥臭さが気になるようなら、すり鉢に少量の水と一緒に入れて、すり鉢の溝に押し付けるようにこすり洗いをして皮を落とす。すり鉢がない場合はボウルに一回り小さな金ざるを入れたものでも代用できる。
・むかごの皮を完全にむく場合は、軽く茹でて、熱いうちにむく。爪を汚したくない場合はピンセットを使うとよい。
・「むかごとぎんなんのかき揚げ」は、野菜料理をおいしくする7要素中7要素を取り入れている。
◎旨み ◎塩分 ◎甘み ◎油分 ◎食感 ◎香り ◎刺激
・ぎんなんを翡翠色に揚げる場合の油温は120~130℃だが、かき揚げの際は、色は気にせず170℃でカラッと揚げる。
・むかごとぎんなんを一緒に揚げるため、同時に火が入るようにそれぞれの大きさを調整する。両方が同じ大きさなら、むかごは揚がるのに時間がかかるので半分に切るなど工夫する。
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