2023年09月08日
「ギンナン」で肺の働きを高めて呼吸器系トラブルに威力発揮
【健康長寿に役立つ高齢薬膳】ギンナン
咳や息苦しさがつらい喘息。
子供がかかるイメージがあるかもしれませんが、成人後も多く、高齢になってからの発症率も高いため注意が必要です。
喘息は気管支が収縮して気道が狭くなり、呼吸が苦しくなる病気で、咳き込んだり、息苦しい、息をするとヒューヒュー、ゼーゼーといった喘鳴を伴います。
軽症のうちは症状が出ても比較的軽く、短時間で治まり発作の頻度も少ないのですが、重症化すると、話をするのも厳しかったり、横になるのも苦しいといった状態になることもあります。 原因の多くはアレルギー性ですが、ストレスや疲労により引き起こされる場合もあります。シニアにとって、ひどい咳は体力の低下につながり、慢性化して重篤になった場合は命にも関わります。症状が軽いうちに対策が必要です。
中医学において、喘息は呼吸器をつかさどる臓器「肺」の機能が低下することによって引き起こされると考えます。肺は、呼吸によって大気中のきれいな気を吸い込み、汚れた気を排出する働きがあります。この働きが低下すると、喉の痛み、咳、扁桃腺が腫れる、そして喘息などのトラブルが現れやすくなります。また、肺はアレルギー症状とも関係が深い臓器でもあります。さらに乾燥に弱く、大気が乾燥する秋はその影響を受けて肺が乾燥し、喘息も引き起こされやすくなります。症状も悪化しがちなので、これからの時季はいよいよ注意が必要です。
喘息の予防・改善のためには肺の働きを高める食材を取り入れることが大切です。おすすめはこれからの時季、旬を迎えるギンナンです。 中国では「白果」という名前の生薬としても知られ、肺の働きを高めて呼吸器系トラブルに威力を発揮する食材。そして、咳を収斂して止めるという高い効能があり、喘息改善によいとされています。症状の改善、予防のためには1日10粒を目安に食べるとよいでしょう。 ギンナンは滋養強壮にもおすすめです。また頻尿の改善にも役立つので、夜間尿が気になる人は寝る前に取り入れておくとよいでしょう。
ギンナンというと茶碗蒸しなどでの“彩り”のイメージが強い食材ですが、サラダ、肉や魚の炒め物に使うと食感と独特のほろ苦さがアクセントになっておいしく仕上がります。秋の健康維持のために、いろいろな料理に使ってみましょう。 ギンナンの喘息症状の改善効果を高めるには、肺の機能を強めて潤いを与えるのに役立つナガイモ、豆腐、白ごまなどと組み合わせるのがおすすめです。
■ギンナン高齢薬膳レシピ ギンナンとナガイモのごまポテサラ
肺の機能を高めるギンナン、ナガイモ、白ごまを組み合わせたレシピ。マッシュしたナガイモを使ったサラダは、ギンナンの風味で「大人のポテサラ風」。白ごまと隠し味の味噌でごはんにも合う味わいです。
【材料】2人分
●ナガイモ 150グラム
●ギンナン(水煮) 10粒
●白すりごま 大さじ1
●A(マヨネーズ=大さじ2、味噌=小さじ1)
●クコの実 適量
【作り方】
耐熱皿に皮をむいて適当な大きさに切ったナガイモを入れ、ラップをかけて8分程度加熱したら粗めにつぶす。ボウルにつぶしたナガイモ、半分に切ったギンナン、混ぜ合わせたA、白すりごまを加えて混ぜ合わせる。器に盛り、クコの実を散らす。
(池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)
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