2021年09月28日
サケ・サンマが不漁 かわりにブリやマグロが…北海道の海に異変
サケやサンマなど北海道を代表する魚の不漁が続いています。一方でブリなど、本来暖かい海の魚が多く網にかかっています。
長いスパンで取れる魚が変わる「魚種交代」が起こっているのかもしれません。
サンマの水揚げ量全国一の北海道根室市の鮮魚店で無料のサンマが振る舞われました。
根室市で振舞われた「サンマ」
客:「サンマは高い」
客:「家計が助かる」
店で売っているサンマは1匹180円。
振る舞われたのはそれより小さい規格外のものですが、不漁が続く中、貴重なサンマです。
8月の漁獲量は850トンで過去最低だった2020年の170トンを上回るものの、過去2番目の少なさでした。
いま海では何が起こっているのでしょうか?
水産研究・教育機構 黒田 寛さん:「魚種交代が起こっているのは間違いない」
北海道で取れる魚が変わってしまうのか。海の中で起きている真相に迫ります。
9月から始まった秋サケの定置網漁。
北海道東部の釧路町を午前4時に出港し網を上げると、そこには…。
田中 うた乃 記者:「海から網があげられました。サケは少なくブリが多いように見えます」
網にかかったのは大量のブリ。この日取れたのはサケ550kgに対しブリは何と1.5t。さらに…。
サケの定置網に大量の「ブリ」
田中 うた乃 記者:「マンボウもあがっています」
暖かい海域に生息するはずのマンボウまで。肝心のサケの不漁が続いています。
その理由を、漁船の乗組員に聞いてみると…。
第七共進丸 川原田 良己さん:「それは、こっちが聞きたい。ふ化放流も行っているがさっぱり増えない」
異変は他にも。海面から飛び跳ねるクロマグロ。
8月に根室海峡で撮影されたものです。
根室海峡で撮影された「クロマグロ」
通常は津軽海峡付近でとどまることが多いクロマグロの群れが、北上してきたとみられます。
根室市の漁港でも巨大マグロが相次いで水揚げされています。本来取れるはずの魚が取れなくなり、今までいなかった魚が現れる理由を専門家に聞きました。
水産研究・教育機構 黒田 寛さん:「海面から50~100m下では、釧路市の南東側で水温が非常に上がっている。魚種交代が起こっているのは間違いない」
北太平洋は数十年単位で海流や水温の変動を繰り返しています。
それによって取れる魚が変わるのが魚種交代です。実は北海道東部では昔から魚種交代を繰り返してきました。
昭和初期の釧路港の写真です。マグロが大量に水揚げされています。
水産研究・教育機構 黒田 寛さん:「世界恐慌で大変だった時代に、マグロが取れたことで漁業を維持できた」
釧路市周辺で取れる魚は明治時代のニシンから、マグロ、マイワシ、サバ、スルメイカ、そしてサンマと10年から20年の間隔で入れ替わってきました。
これまでも「魚種交代」はあったという
今後はどうなるのでしょうか?
水産研究・教育機構 黒田 寛さん:「地球温暖化が裏に隠れている。過去の知見で未来を予測するのは難しい」
海の変化にどう対応していくのか。
地元で取れた新鮮な海鮮物が売りの飲食店。
サケやイクラ、サンマの不漁で苦しい状況が続きます。
ブリは豊漁ですが客が求めるものとは違うといいます。
喰処 鮭番屋 金橋 直喜さん:「10年くらいこの状況が続けば産地としてブリを売り出せるが、今は変わってきたばかりでブリの産地として認識されていない。北海道の味覚としてはサンマやイカが強い」
海の変化で様変わりしていく魚。取れない魚を求めるのではなく、たくさん取れる魚をどのように利用するのか、考える必要がありそうです。
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