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「カーボンニュートラル」は日本を陥れるEUの罠

2021年03月21日

「カーボンニュートラル」は日本を陥れるEUの罠

 (池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)

 気候変動に関するパリ協定から離脱していたアメリカが、バイデン政権でパリ協定に復帰し、4月22日に「気候変動サミット」を開催する。これには菅義偉首相も参加し、日米首脳会談で、温室効果ガスに関する合意が発表される可能性がある。

 バイデン政権のケリー気候変動特使はサミットに向けてEUと協議し、イギリスのジョンソン首相との共同声明で、2050年カーボンニュートラル(CO2排出実質ゼロ)を目標とすることを確認した。先進国がそろって「脱炭素」をめざすのは結構なことだが、それは実現できる目標なのだろうか。

■ ガソリン車もハイブリッド車も禁止される

 このような状況を憂慮しているのが自動車業界である。3月11日、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は異例の記者会見を行い、「このままでは日本は自動車を輸出できなくなる」と訴えた。

 EU(ヨーロッパ連合)は2030年代にガソリン車やハイブリッド車(HV)を含む内燃機関を全面禁止し、電池駆動の電気自動車(EV)以外は生産・輸入を認めない方針だ。これが実施されると、プリウスのようなHVはEUに輸出できなくなる。

 このように「ハイブリッド車は電気自動車ではない」とするEUの方針は、2010年代から一貫している。その背景には、競争力を失ったヨーロッパの製造業をESG投資(環境関連投資)で復活させようという戦略がある。

 EUは自動車にも厳しいCO2排出規制を行ったが、それをクリアしてハイブリッド車のベストセラー「プリウス」をつくったのはトヨタだった。HVで壊滅したEUのメーカーは、EVで巻き返そうとしている。それを支援して日本のHVを排除するのが、EUの狙いである。

 日本の自動車産業は関連産業を含めて550万人の雇用を創出しているが、輸出ができなくなると、そのうち70~100万人の雇用が失われ、15兆円の貿易黒字がなくなる、と豊田社長は危機感を表明し、政府の対策を求めた。

 かつて自動車生産のグローバル化が進んだとき、人件費の安い国に工場を移転する空洞化が起こったが、これからはCO2排出の少ない国に工場が移転する空洞化が起こるだろう。

■ 「国境炭素税」の脅威

 今年(2021年)6月にも、EUのカーボンプライシング案が出てくる予定だ。これは工業製品に含まれるCO2にマイナスの価格をつけ、域内では排出権取引(EU-ETS)を行うと同時に、輸入品には国境炭素税(関税)をかける制度である。

 その税率はライフサイクル評価(LCA)で決まる。たとえば電気自動車がまったくCO2を出さなくても、電池をつくるとき消費される電力が火力発電でつくられていると、そのCO2排出量に応じて課税される。


 豊田社長は「LCAで考えると、フランスでつくるヤリスのほうが日本でつくるヤリスより環境にいい車になる」と語った。日本の化石燃料比率は、原発が止まったままなので75%だが、フランスでは原子力比率が77%で、火力は5%だからである。


 フォルクスワーゲンはこういう規制を見越して、スウェーデンに電池工場を建てている。スウェーデンの電源の40%は水力、40%が原子力で、火力は1%だから、LCA規制が実施されても、炭素税は大幅に軽減される。

 このような国境措置にはWTO(世界貿易機関)が反対しているが、国境炭素税はWTOで各国が協調する必要がない。EUが課税すると、日本も同じ税率で課税しないと不利になるから、世界全体で関税引き上げ競争が起こるだろう。

 国境炭素税を避ける合理的な方法は、輸出国で炭素税をかけることだ。たとえばEU域内でプリウスに10%の炭素税をかけるとすると、日本国内で10%課税すれば、国境炭素税(域内の税との差額)はかからない。同じ税なら外国に課税されるより国内で課税するほうがいいので、EUが国境炭素税をかけると、世界中が巻き込まれるのだ。

 アメリカはパリ協定から離脱していたのでEUの枠組と無関係だったが、バイデン政権はパリ協定に復帰し、民主党内にはCO2削減に巨額の投資を行うグリーン・ニューディールを推進する議員が多い(ハリス副大統領を含む)。

 ただアメリカが国境炭素税に合意するかどうかは不透明だ。もし炭素税が実現すると、今やアメリカの主要な輸出品となった石油に課税され、石油資本が大きなダメージをこうむるからだ。


■ 外交は他の手段による戦争の継続である  問題は自動車だけではない。日本製鉄は今後5年間で2兆4000億円の設備投資で海外生産を増強する計画を発表した。同時に国内では高炉の休止を加速し、国内外の生産比率が逆転するという。  国内に残る工場は電炉にして「カーボンニュートラル電力」に転換する予定だが、これには「カーボンフリー電力」が必要だ。カーボンニュートラル製鉄には5000億円の技術開発費がかかるが、2050年の製鉄コストは2倍以上になるという。  それでもCO2が出ることは避けられないが、これはCCS(炭素貯留技術)で地中に埋める。そのコストは膨大で、立地できる見通しも立たない。このようにカーボンニュートラル投資はコストを倍増する投資であり、補助金なしでは実現できない。  その補助金は、本当に2050年にカーボンニュートラルを実現しようとすれば、毎年100兆円以上かかる。これをすべて炭素税でまかなうとすると、消費税40%以上である。カーボンニュートラルは、日本経済に致命的なダメージをもたらすのだ。  コストを増やさないで脱炭素を実現する方法は原子力である。今ある原発を延命すれば、2030年にCO2マイナス26%というパリ協定の約束は実現できるが、2050年カーボンニュートラルを実現するには原発の新増設が必要だ。しかし菅政権にはその気がないので、EUとアメリカが国境炭素税で合意すると、製造業の空洞化が起こるだろう。  こういう話は「陰謀論だ」と批判されるかもしれないが、EUがこういう罠を仕掛けるのは今回が初めてではない。2015年の当コラムでも指摘したように、1997年の京都議定書で1990年を基準年にしたのも、EUが容易に達成できる目標を設定して日本を陥れる罠だった。  議長国だった日本は「地球を守ろう」という美辞麗句に乗せられ、マイナス6%という過大な削減枠を飲んでしまった。結果的にはEUはマイナス15%と目標(マイナス7%)を超過達成したが、日本はプラス10%になり、排出枠を中国とロシアから数千億円で買うはめになった。  4月の日米首脳会談で菅首相が2050年カーボンニュートラルを約束すると、莫大な国民負担が発生し、製造業は日本から出て行くが、原発の新増設なしでは実現不可能なので、結果的には何兆円もの排出枠を買うことになるだろう。それによって莫大な国民負担が発生するが、地球環境は何も改善しない。  近世以降、500年にわたって血なまぐさい戦争をくり返してきたヨーロッパ諸国にとって、このような外交的策略で他国を陥れることは常套手段であり、小泉進次郎環境相のようなナイーブな政治家は手玉に取られてしまう。クラウゼヴィッツの有名な言葉を逆転すると、外交は他の手段による戦争の継続なのである。

【「カーボンニュートラル」は日本を陥れるEUの罠】の記事終わり


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再エネ導入で遅れる日本「脱炭素」に向けた“壁”は?

再生可能エネルギーの導入を進める動きが世界で加速している。日本でも、菅政権が2050年に二酸化炭素の排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の目標を掲げ、その実行計画でも、再生可能エネルギーの導入を「最大限進める」と明記した。

現在、日本の電力において再生可能エネルギーが占める割合は18%。この割合を上げていく上で、いま日本は“壁”に直面している。

■危機感を抱く民間企業
そもそもなぜ再生可能エネルギーの導入を推し進める必要があるのか。地球環境のためというのはもちろんだが、背景には世界情勢がある。実は、再生可能エネルギーへの切り替えができなければ、サプライチェーンからはじき出されることになるかもしれない。

例えば、IT大手の「グーグル」は2017年時点で自社のオフィスなどで使う全ての電力を再生可能エネルギーで調達できたと発表している。同じくIT大手の「アップル」も2030年までに使用するすべての電力を再生可能エネルギーにするとしている。

取引先に対しても、使用する電力をすべて再生可能エネルギーにするよう求め、導入できていなければ、取引しない考えだ。そのため企業は危機感を強めている。

現在政府は2030年時点での再生可能エネルギー導入目標を22~24%に定めているが、これでは後れを取るとして、大手企業90社以上が目標を40~50%まで引き上げることを求めた。

■規制緩和に向け動き出した政府
目標達成のために焦点となるのは、主に3つの“壁”だ。再生可能エネルギーの導入拡大に向け、河野行政改革担当大臣のもとで壁となる規制の緩和について、議論されている。

1つは「荒廃農地」の規制だ。農業従事者の高齢化で増える荒廃農地の中でも、再び農地として使用することが難しい土地が全国で約19万ヘクタールもある。これは大阪府の面積とほぼ同じだ。しかし、たとえ荒廃していても、農地を別の目的で使うには複雑な手続きが必要で、原則として他のことに使えない。その規制を緩和して、農地として使えなくなった土地を太陽光発電のために使う案が検討されている。

2つめは「環境アセスメント」の壁だ。風力発電を導入する際は、事前に環境への影響がどの程度あるかを調査する環境アセスメントの審査を受けなければならない。

アメリカなど欧米の一部は5万キロワットの規模から調査の対象となるが、日本では1万キロワットの規模から対象となる。当然審査の数は多くなり、結果が出るまで4~5年かかる。5年後の事業計画に向け投資することは企業にとっても難しく、導入の妨げとなっている。政府は対象を5万キロワットまで引き上げることを検討している。

3つめは地方で発電した電力を消費地に送る「送電網」の壁だ。日本では戦後から、各地域で1つの大手電力会社が発電し、電気を消費地に送電する仕組みがとられていた。昨年ようやく大手電力会社から「送電」を分離する制度となったが、送電網の使用は先に契約を申し込んだ火力や原子力が優先されており、新規参入が多い再生可能エネルギーが使える容量が少なくなっているという。火力や原子力に加え、再生可能エネルギーを含めた制度の見直しが検討されている。

■10年で45%の再エネ導入を
カーボンニュートラルに向けて、何が必要なのか。規制改革の議論にも委員として参加する、「自然エネルギー財団」の大林ミカ事業局長によると、2050年の脱炭素化に向け、2030年には最低でも45%に相当する再生可能エネルギーが必要だという。

財団では、荒廃農地の活用や送電ルールの変更をはじめとする規制を見直すことなどでこれを達成できると試算している。

■これからの政府
11月には、地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」の運用を議論するCOP26の会合が開かれる。それに合わせて、経済産業省では夏にも国のエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」を改定し、2030年の電源構成について見直す計画だ。政府には実効性のある計画が求められている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a8fe4c4df8c0bff81a32c89fbbc9755ee2dcfba0




引用元の記事はこちら(https://news.yahoo.co.jp/articles/0b9ec8d471611156b8ca6885caa8eb0b90a0fac4)


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